真理子、誠一と田原おばあさん、おじいさんとおばあさんは遼州での滞在を楽しみ、元宵節が過ぎてから東京に戻ってきた。田原おじいさんは不満げな顔で、家族全員が観光旅行に出かけて楽しんでいる間、自分のことは忘れられ、生死も気にかけられず、見捨てられたのだと言った。田原おばあさんが長い時間なだめ、おじいさんとおばあさんも優しい言葉をかけたが、最後は真理子と誠一が何も言わずに左右から抱きしめ、それぞれが響くようなキスをして、ようやく機嫌が直った。老人は満面の笑みを浮かべ、とても嬉しそうだった。
元宵節の前後に各学校が次々と始まり、誠一はもうすぐ学校に戻って寮生活を始める。真理子とおじいさんとおばあさんもG県に帰らなければならない。
田原おじいさんと田原おばあさんは非常に名残惜しく思っていたが、それを表に出さなかった。立場を入れ替えて考えれば、彼らが孫娘を側に置いておきたいと願うように、おじいさんとおばあさんだって同じ気持ちではないだろうか。だから、真理子の決断を尊重し、彼女が高校入試を終えて東京の大学に入学するのを辛抱強く待つことにした。
おじいさんとおばあさんは結局、真理子についていくことになる。今、おじいさんは家の前の小さな丘を請け負い、薬草園に改造しようとしている。人生でチャレンジできる機会は限られており、誰にも夢がある。意気込みがまだあり、体力もあるうちに、おじいさんに夢を実現させてあげよう。薬草園が完成したら、専門家に任せて管理してもらい、東京に来て安らかに余生を過ごせばいい。
田原おじいさんと田原おばあさんは真理子とおじいさんとおばあさんの東京出発の準備をしていた。二人のおばあさんは荷物をまとめながら、村に戻ったときに村人たちに何のお土産を持っていくか相談していた。真理子も暇ではなく、誠一を学校に送る機会を利用して、帰り道で運転手に車を止めてもらい、何かと理由をつけて一人で街に出かけた。運転手は車を置いて彼女についていくわけにはいかず、先に行くしかなかった。