第284章 お金を稼ぐ欲望

古風な質屋や、漢方薬の清々しい香りを漂わせる薬屋を通り過ぎ、真理子はそれぞれの店に入って見て回った。金銀の器が少し売られているだけで、特に見るべきものはなかったが、漢方薬店では結構な時間を過ごした。

今の漢方薬店は処方箋に基づいて薬を調合するだけでなく、ガラスケースには漢方薬や滋養強壮剤も並べられていた。パッケージは未来の薬局で売られているものとは全く異なり、亀苓膏や茯苓膏などは陶器の瓶や碗に入れられていた。上品で素朴と言えば聞こえはいいが、素朴すぎて田舎くさいとも言える。真理子は一つ一つ丁寧に観察し、親しみと面白さを感じた。

神識力を少し使って壁一面に並ぶ小さな木箱を調べると、どの薬店もほぼ同じで、一般的な薬は豊富だが、山人参や霊芝、冬虫夏草などの貴重な薬材はごくわずかしかなく、二軒の店では全く在庫がなかった。

これらはもともと希少な薬材で、入手困難なものだった。80年代の改革開放で国境が開かれると、多くの海外からの薬商が高額で薬材を買い集め、大量の貴重な薬材を密輸出し、国内の薬材市場に大きな打撃を与えた。多くの有名薬店が影響を受け、一時的に人参や霊芝を仕入れられないのも不思議ではなかった。

真理子は遼州県で買い物をしていた時、偶然他人の会話からこの状況を知った。田原お父さんがおじいさんを薬材栽培場に連れて行った時、彼女と誠一も一緒に行き、誰も見ていない隙に十数株の山参の苗を宝珠の異空間に移した。東北地方でしか野生の山参は育たないと聞いていたが、南部では聞いたことがなかった。山参の苗は彼女の宝珠の異空間で順調に育っていたが、実際に山参ができるかどうかはわからなかった。

もしこの後本当に骨董品や宝物に出会ったら、大金が必要になるかもしれないと考え、真理子は二軒の薬店でそれぞれ三株の紫霊芝やチャキセイ、鉄斛、首烏などの薬材を売った。薬店の店主は目利きで、これらが極上品であることを見抜き、驚きと喜びの表情を隠せず、家にまだ売る薬材があるかどうか何度も尋ね、いくらでも買い取ると言った。