家に帰ると、おばあさんは居間に座って待っていた。テーブルの上には二杯の白湯が置かれていて、彼女が沸かしたばかりのもので、真理子とおじいさんに一杯ずつ用意されていた。
おじいさんは熱い白湯を少し飲み、頭を振りながらため息をついて、上峰村で姉に会った時の状況をおばあさんに話した。喧嘩になって初めて分かったことだが、姉は孫たちを彼に押し付けて「家業」を継がせる考えを全く諦めていなかったのだ。
以前、おじいさんは橋本菊子の学費を援助し、生活費の一部を負担することを約束したが、橋本家の男の孫を引き取ることは断固として拒否した。佐藤叔母さんは、おじいさんが女の子の方が素直で言うことを聞くと考え、将来婿養子を取っても躾けやすいと思ったのではないかと感じていた。そうでなければなぜ菊子だけを援助するのか?菊子は彼女の実の孫娘で、元々はおじいさんの家に送り込んだのだが、今の菊子はあまり言うことを聞かなくなり、おじいさんからもらった物を帰っても祖母に渡さなくなった。佐藤叔母さんはそれを非常に不快に思い、さらに他の息子の嫁や娘たちも自分の娘を「引き立て」てほしいと要求したため、佐藤叔母さんは別の計画を立てた。菊子の他に、さらに三人の女の子を送り込み、今後おじいさんの家に頻繁に通わせて手伝いをさせ、将来的におじいさんの跡取りをこの四人の女の子から選ぶつもりだった。もちろん、一番素直で従順な子が選ばれるチャンスがあるのだ!
そして先ほど、おじいさんは四人の女の子を佐藤叔母さんのもとに送り返し、はっきりと言った。もう子供たちを彼の家に手伝いに行かせないでほしい、子供たちはあまり役に立たないし、村には生産隊の労働力がたくさんいて、みんなで助け合えば、どんな農作業も問題ないと。さらに、橋本菊子は礼儀知らずで物事をわきまえず、年長者を敬わない。何年も学費を払ってきたが全て無駄だった。このような女の子は勉強しても意味がないようだ。今後は菊子の学費の面倒は見ない、価値がないからだ!