第306章 人を待つ

八月中旬、南部の農村で最も重要な「二度の収穫」の季節がようやく終わった。早稲を収穫し、晩稲を植え、米を乾燥させて倉庫に入れ、公糧を納め、余った穀物を売り、トウモロコシを収穫し、豆を掘り起こす。これらの忙しい作業が終わってようやく一息つけるようになり、まだ学校に通っている子供たちは安心して夏休みの宿題に取り組み、新学期の準備を始めることができた。

真理子はすでに東京医学院からの合格通知を受け取っていたが、急いで東京へ行くことはなかった。彼女は郵便局から田原邸、黒田邸、田原お父さんなどに電話をかけ、南部にまだ少し用事があり、開学の時期になったら自然と行くつもりだと説明した。

みんな理解を示し、黒田おじいさんは彼女に自分のことをしっかりやるように、急ぐ必要はないと言った。他の人は一週間も列車に乗らなければならないが、彼女は軍用機に乗れば半日で着くのだから。

実際、真理子には特に急ぎの用事はなく、公道村の家では普段通りの生活を送っていた。空間の管理、隠れての修行、基本的な呪文の学習、読書や書道の練習の他に、毎日おばあさんの家事を手伝い、薬材の部屋の世話をし、おじいさんと一緒に薬材栽培園を巡回して雑草を取り除き土を耕し、暇があれば村の診療所で佐藤承福の代わりに患者を診察し、時々友達と山に行って野生の果物を集めたり、薪を集めたりしていた。これらは全て遊びとして捉えていた。おじいさんは山に薪を切りに行く時間がなく、おばあさんにも草を刈りに行かせず、代わりに買っていた。大崎健太に大型トラックで来てもらい、近くの公社の林場から二台分の木の枝や切り株を買い、それを家に持ち帰って割って庭の隅に小さな山のように積み上げ、水を沸かしたり、ご飯を炊いたり、豚の餌を煮たりするのに使い、長い間燃やしても尽きることはなかった。

真理子がなかなか東京へ行かないことを知った県の先生たちは心配し、特に玉田先生がバスで戻ってきて何が起きているのか尋ねた。すでに合格しているのだから、早く行って学校の環境に慣れた方がいいのではないかと。真理子は玉田先生に説明せざるを得なかった。玉田先生はようやく安心して帰っていった。

関口愛子たちは感動して、真理子に彼女たちと別れるのが辛いのかと尋ねた。真理子は笑って言った。「勘違いしないで、私は人を待っているのよ!」