第154章 過ぎたるは及ばざるが如し、自分のことは自分で考えなさい

野井北尾の心に喜びが芽生えた。

田口優里が彼を二階に上がらせたことは、間違いなく良い兆候だった。

しかし、階段を上がり、部屋に入って二人が席に着くと、田口優里の最初の言葉は「あなたが約束を守らない人だとは思わなかった」だった。

野井北尾は一瞬固まった。

田口優里はさらに言った。「私たちが以前約束した一年間、あなたは同意したはずよ」

二人の一年の約束を思い出し、野井北尾は数秒間黙り込んだ。

田口優里は続けた。「約束を守ってほしいの。できる?」

彼女は相談するような口調で話したが、その冷たい眼差しは野井北尾に明確に伝えていた。もし彼ができないなら…

彼は脱落することになる。

野井北尾は重々しく口を開いた。「僕も約束を守りたい。でも…怖いんだ」

彼は顔を上げて彼女を見つめ、その目には後悔と自責の念が満ちていた。「優里ちゃん、過去に僕は多くの間違いを犯した。君に許してもらおうなんて思わない。でも、少なくともチャンスをくれないか」