第268章 彼に機会を与えない

野井北尾は田口優里の気持ちを確認したものの、そうであればあるほど、彼は自分が余計に考え過ぎて不安になりやすいことに気づいた。

特に、三井和仁という人物は、確かに彼のライバルとなる資格があった。

そして、三井和敏という狂人が計画した誘拐事件で、三井和仁も単身で向かったと聞いている。

三井和仁は若くして三井家を取り仕切っているのだから、当然損をする人物ではない。

しかし三井和敏が田口優里を捕まえて彼を脅したとき、彼はすぐに行ったのだから、彼が田口優里に対して本当に感情を持っていることは明らかだ。

野井北尾は警戒せざるを得なかった。

また、田口優里も木の人形ではなく、誘拐事件は三井和仁が原因で起きたものだが。

しかし、この件における三井和仁の態度が、野井北尾に危機感を抱かせた。