第360章 天敵

行ってみると、なぜ松下牧野が気まずくないと言ったのかわかった。たくさんの人が来ていたからだ。

病院の部署の人だけでなく、研究所の人もいた。

岡田羽一の先生や先輩たちが、丸々三つの大きなテーブルを占めていた。

一つのテーブルに約20人もいた。

とても賑やかだった。

田口優里と田村若晴が研究所の人なのか、岡田羽一の後輩なのかと尋ねる人もいた。

とにかく知らない人もいたので、気まずくはなかった。

田村若晴は岡田羽一のテーブルが自分から遠く離れていることに気づき、ほっとした。

食事の前に、院長がまず挨拶し、それから岡田羽一の先生にも数言話してもらった。

最後に岡田羽一も簡単に二言ほど話した。

本当に二言だけだった。

彼は言った:「手術の成功は皆さんの協力の結果です。ここにいる全員が功労者です」

田口優里は隣の女性が声を抑えて悲鳴を上げ、「岡田羽一はかっこいい」などと言っているのを聞いた。

彼女は田村若晴に小声で言った:「私も岡田羽一はかっこいいと思うよ。あなたが追いかけているお兄さんよりずっといいわ。浮気してみない?」

田村若晴は無表情で田口優里の食器を洗ってあげながら:「考えてないわ」

「おかしいわね」と田口優里は言った:「手術の時からおかしかった。前は一番積極的だったのに、今はまるで...風船の空気が抜けたみたいな感じ?」

まさに風船の空気が抜けたようなものだった。

田村若晴は心の中でため息をついた。

彼女は言った:「岡田羽一がお兄さんよりかっこいいわけないでしょ。あなた目が悪いんじゃない?」

田口優里は顎を支えながら:「でも彼はとても魅力的だと思うわ。手術ができる男性は、歌ったり踊ったりする男性よりずっと魅力的よ」

田村若晴は言った:「あなたのその様子を野井北尾が見たら、嫉妬の壺がひっくり返るわよ」

「私はただ感心しているだけよ」と田口優里は言った:「彼はそんなに小さい器じゃないわ」

「さっき岡田羽一が魅力的だって言ったこと、野井北尾の前でもう一度言える?」田村若晴は彼女をからかった。

田口優里は言った:「もういいわよ、もう相手にしないから。とにかく、岡田羽一はあなたのお兄さんより魅力的よ」