第366章 再婚した

田口優里は思わず食事のスピードを上げた。野井北尾は横で「急がなくていいよ、そんなに早く食べなくても」と言った。

田口優里はすでに科の主任に電話をして、1時間の休暇をもらっていた。

しかし実際、野井北尾は松下牧野と同じことを考えていた。今日は再婚するのに、仕事なんて行く必要があるのだろうか。

しかし田口優里が行くというので、彼も何も言えなかった。

野井北尾は早々に二人の証明書を用意して、宝物のように手に持ち、置こうともしなかった。

田口優里は急いで食事を終え、彼の様子を見て思わず笑みがこぼれた。

野井北尾の視線は彼女に釘付けで、彼女が手を洗い、服を着替えるのを期待と少しの不安を含んだ目で見つめていた。

田口優里は彼の視線に溜息をつき、急いで服を着た。「行きましょう」

松下牧野も一緒に行くことにした。「横で写真を撮るよ。こんな特別な瞬間は、たくさん写真に残さないとね」

彼は今、とても若々しい心持ちで、まるで青春時代に戻ったようだった。

時々料理をしながら、彼が歌を口ずさむのが聞こえることもあった。

野井北尾と田口優里は特に意見はなかった。

実際、二人が別れてまた一緒になるまでの過程は、本当に長く辛いものだった。

しかし手続きをするのは、とても早かった。

二人の以前の結婚証明書は深紅色の離婚証明書に変わっていたが、今回はその離婚証明書が回収され、彼らの手元に戻ってきたのは、最初の結婚証明書だった。

以前、野井北尾は結婚証明書がどんな形をしているのか、じっくり見たことがなかった。

しかし今、彼は下を向いて見つめ、自分と田口優里の写真、二人の証明書番号、そこに記された日付を、目を逸らさずに見つめていた。

まるでそこに何か稀世の宝物があるかのように、彼は目を離すことができなかった。

帰り道、野井北尾は二冊の証明書を直接自分で保管し、田口優里には全く渡さなかった。

田口優里は笑うべきか泣くべきか分からなかった。「一人一冊じゃないの?」

「僕が持っておくよ」と野井北尾は言った。「あなたのところに置いたら、もし無くしたらどうするの」

「私もちゃんと保管するわ」

「ダメだ」野井北尾は慎重に二冊の証明書を胸ポケットに入れ、しっかりと隠してから言った。「僕が持っておく、いい子だ」