第370章 あなたと岡田羽一はお似合いだ

田村若晴は一瞬固まった。「知らないわ」

「その研究室はあなたたちの脳神経外科の上の階にあるのよ。これからは、毎日岡田羽一を見かけることになるかもしれないわね」

田村若晴は笑った。「私が毎日彼を見て何になるの?」

田口優里は彼女に近づいた。「知り合いになるためよ。私はやっぱり、岡田羽一はとても良い人だと思うわ。それに、あなたたちは同業者だから、きっと共通の話題がたくさんあるはずよ」

田村若晴は笑みを消し、真面目な表情で田口優里に尋ねた。「あなたは、岡田羽一のような人が...私に興味を持つと思う?」

田口優里は不思議そうに彼女を見た。「どういう言い方?岡田羽一がどうしたの?彼だって男でしょ?言っておくけど、男である限り、あなたのことを好きにならない人はいないわよ」

田村若晴は彼女の真剣な表情を見て、思わず笑った。「あなたは私を買いかぶりすぎよ」

「本当のことを言ってるの!」田口優里は目を大きく見開いた。「あなたは綺麗だし、スタイルもいいし、名門校卒で、仕事もできて、性格も良くて...」

彼女は指を折りながら数え上げ、田村若晴は彼女の手を握って言った。「じゃあ、私がタバコを吸って、お酒を飲んで、喧嘩して、人を罵ることについては言わないの?」

田口優里は言った。「人間完璧じゃないわよ。岡田羽一が完璧だとでも?」

「そうじゃないわ」と田村若晴は言った。「でも忘れたの?あなたの野井北尾が言ってたでしょ、研究者たちがどんな女性を好むかって」

確かに、野井北尾は言っていた。あの人たちは頑固で古風な人たちで、嫁をもらうのは家庭を守り、子供を育てる三従四徳の女性が良いと思っていると。

田口優里は言った。「でも岡田羽一はそういうタイプには見えないけど...」

「前はこんなに熱心に私と男性を引き合わせようとしなかったじゃない」と田村若晴は言った。「どうしたの?」

田口優里は言った。「別に何もないわよ。ただ、あなたと岡田羽一が似合うと思っただけ。二人が並ぶと、身長も外見も、性格も気質も、なんだかピッタリに見えるの」

田村若晴は彼女の髪をくしゃりと撫でて言った。「あなたがそう思っても意味ないわ。私が思うに、岡田羽一は...男に依存して、優しく気が利くタイプが好きなんじゃないかしら」

「そうとは限らないわよ...」