病室がまた開かれた。
川木信行と涼宮陽子が一緒に来たのだった。
涼宮陽子は白い花柄のドット模様のワンピースを着て、美しい顔はすっぴんで、清潔感があった。
とても純粋に見えた。
奥田梨子は二人を一瞥すると、淡々と視線を逸らした。
特に嬉しそうでも悲しそうでもない表情だった。
川木お婆さんは冷たい表情をしていたが、彼女の教養のおかげで直接的な言葉で人を傷つけることはなかった。
涼宮陽子は手に川木大奥様の好きな野菊の花束を持って、「川木お婆さん、お見舞いに来ました」と言った。
彼女は気まずそうに言った。「エレベーターを出たところで、偶然信行に会ったんです」
川木敏子は涼宮陽子の腕に手を回して、「お婆ちゃん、私と陽子さんは今日お見舞いに来る約束をしていたの」と言った。
若い者たちがお見舞いに来たのだから、川木大奥様も追い出すようなことはしなかった。