第14章 南無阿弥陀仏

午後、辻本剛司は川木信行の代わりに奥田梨子にサインをもらうための契約書を持ってきた。彼はその内容を知らなかった。

「奥田梨子、昨夜は彼らを止められなくてごめん」

辻本剛司は本当に申し訳なく思っていた。

奥田梨子は首を振った。「あの人たちはたくさんいたし、あなたが彼らに勝てるわけないわ。それでも、ありがとうって言いたいの」

彼女は人に怒りをぶつけるような人ではなかった。

「土田才戸はもうあなたの前に現れることはないよ。彼は刑務所に入った。それに川木家は土田家とのすべての協力関係を停止した」

奥田梨子は土田才戸が刑務所に入ったと聞き、今朝の畑野志雄からの電話の内容を思い出した。彼はまた彼女を助けてくれたようだ。

川木家が土田家との協力を停止したことについては、奥田梨子も川木信行が彼女のためにしたとは天真爛漫に考えていなかった。