第19章 揉まなくていい

川木信行は検査を終えた涼宮陽子を抱えて病院を出ると、すぐに車に乗り込んだ。

「次は気をつけてね、左手がまだ完全に治っていないのに、今度は足だよ」

涼宮陽子は優しい声で言った。「怒らないで、これからはおとなしくするって約束するわ。ごめんなさい、今夜はパーティーに行くべきじゃなかったの。あれが何のためだったか知らなかったから...」

彼女は潤んだ瞳をまばたきし、目が少し赤くなっていた。「もし知っていたら、行かなかったわ」

川木信行は彼女が悲しんでいるのを見て、ため息をついた。「ごめん、僕が悪かった。君を辛い思いにさせて。陽子、あと半年だけ時間をくれないか?」

彼は彼女を腕に抱き、額に軽くキスをした。

「全部私が悪いの。あの時、留学を選ばなければ...信行、ごめんなさい」涼宮陽子は悲しそうに彼に寄りかかった。