第20章 緑の帽子を被った

奥田梨子は畑野志雄を押しのけた。

畑野志雄もそれに応じて彼女を解放した。

彼女は本来怒るつもりだった。

しかし彼の薄い唇に彼女の口紅が付いているのを見て、まるで妖艶な男のようだった。「……あなた何のつもり？甥っ子の女を奪おうとしてるの？」

彼女の言葉には少し皮肉が込められていた。

畑野志雄はソファに座り、軽く笑みを漏らした。白いバスローブが少し緩み、露わになった胸元はとても色気があった。

彼は言った、「ここに泊まりたいって言ったのは、そういう意味じゃないのか？俺を誘って甥に緑の帽子をかぶせようとしてるんじゃないのか？彼が今電話で何を言ったんだ？君を刺激したのか？」

奥田梨子、「……」

この男はなんてそんなに賢いんだろう。

奥田梨子は確かにほんの一瞬、川木信行に仕返しをしたいと思った。