第17章 離婚した、災いが天から降る

二人は何事もなく同じ寝室で一晩を過ごした。

早朝、民政局が開くとすぐに、奥田梨子と川木信行は離婚の署名をしに行った。

滑稽な協議結婚は、良い結末もなく幕を閉じた。

「お婆さんの前ではバレないようにして」と川木信行は警告した。「これから病院にお婆さんを迎えに行くんだ」

「それは私があなたに言うべきことよ。あなたと涼宮陽子は外では慎重にね。彼女は大スターなんだから、メディアの目を引くわ」

彼女は言い返した。

川木信行は冷たい目で彼女を一瞥し、もう話を続けなかった。

奥田梨子が保っていたプライドは、奥田晶子からの電話で一瞬にして崩れ去った。

「ママ」

「まだ私をママだと思ってるのね。いつあなたの会社の社長と結婚したの？結婚したのに家族に黙っていたなんて！明日、旦那さんを連れて家に帰ってきなさい。みんなで食事をしましょう」

奥田晶子の言葉には不満が溢れていた。

結婚という大事なことを、家族に一言も言わずにいたなんて。

奥田梨子は深呼吸して、言葉が強くならないようにした。「あそこは木村家よ。彼を連れて行くつもりはないわ」

奥田梨子は8歳までずっと奥田晶子と一緒に暮らし、母娘二人で食べるものにも事欠く日々を送っていた。

8歳の時、奥田晶子は彼女を孤児院に送った。

奥田梨子が15歳になるまで、すでに木村家に嫁いでいた奥田晶子はある日突然、孤児院から奥田梨子を引き取った。

時々、奥田梨子は自分の母親を恨むべきか、それとも迎えに来てくれたことに感謝すべきか分からなかった。

奥田晶子は娘の頑固な性格をよく理解していた。「あなたが彼を連れてこないなら、私が直接会いに行くわ。あなたは彼を何年も愛してきたのよ。やっと結婚できたんだから、大切にしなさい」

ある時、奥田晶子が奥田梨子を訪ねた時、たまたま机の上に片付けられていない日記を見つけた。

日記には川木信行のことばかり書かれていた。

奥田晶子は奥田梨子の気持ちを察した。

車内は静かで、奥田晶子の言葉は川木信行にもうっすらと聞こえていたようだ。

奥田梨子は母親がまた余計なことを言わないか心配して、「ママ、また今度会いに行くわ。今は用事があるから、電話切るね」と言った。

彼女が電話を切ると、川木信行が冷たく皮肉を込めて言った。「なぜみんな君が私を愛していると思うんだろう？」