第51章 雰囲気が一瞬止まった

朝、家政婦が一つの小包を持ってきた。

「旦那様、お荷物が届いております。」

川木信行は小包に貼られたメモの筆跡と、差出人の名前を見た。奥田梨子からだった。

彼は小包を開け、中の人形を見て、それを川木貝子の部屋に置くよう指示した。

涼宮陽子が階段を降りてきて、ちょうど川木信行の言葉を耳にした。

彼女は使用人の手にある精巧な人形を見て、笑いながら尋ねた。「これは誰が貝子にくれたプレゼント?とても精巧で可愛いわね。」

「奥田梨子が貝子にくれたプレゼントだ。」

川木信行はそう言うと、執事から渡されたコートを腕にかけ、「仕事に行ってくる」と言った。

涼宮陽子は奥田梨子という名前を聞いて怒りを抑えながらも、にこやかに川木信行の頬にキスをした。「私もこれから行事に参加するわ。」