奥田梨子は畑野さんがまた彼女を海辺に連れて行くとは思わなかった。
「明日の日の出を待とう」
彼は海辺にテントを張り、テントにはランプを吊るした。
彼はさらに焚き火も用意した。
奥田梨子は顎を支え、上半身裸で忙しく動く彼を見つめていた。気品が減り、颯爽さが増していた。
遠くの波の音が時々聞こえてきた。
奥田梨子は賀来蘭子に電話をかけ、今夜は帰らないと伝えた。彼女が畑野志雄と外出していると聞いて、蘭子はそれ以上質問しなかった。
「梨さん、楽しんできてね」賀来蘭子はネット上の出来事が奥田梨子に影響しないか心配していた。
「うん」奥田梨子は電話を切った。
畑野志雄もちょうど忙しい作業を終え、キャンピングカーで素早くシャワーを浴びてから奥田梨子の側に戻ってきた。
奥田梨子は彼の腕の中に身を寄せて座った。