第102章 責任を取りたくない?

奥田梨子は疑わしげな目で見て、「あなたは私とただ一緒になりたいだけ?責任は取りたくないの?」

彼女がそう言うと。

畑野志雄は思わず笑みを漏らした。

彼は手を伸ばし、すでに太ももまでめくれ上がったバスローブを直してあげた。「起きて、食事をしよう。」

しばらくして。

彼は少し恨めしげな口調で言った。「本当はサプライズをしようと思っていたんだ。婚約指輪とドレスの準備をしていたところだった。」

これでサプライズは台無しになってしまった。

奥田梨子はもう横になっていられなくなり、起き上がってナマケモノのように手足を畑野志雄に絡ませた。

耳元が少し赤くなっている。

「食事だ。」

畑野志雄はそれを聞いて微笑み、片手で彼女のお尻を支え、もう一方の手で弁当箱を持ち、体にくっついたナマケモノを連れてソファへと向かった。

食事の間、畑野志雄はすぐに食べ終えた。

一方、奥田梨子は珍しく賢淑な一面を見せていた。

畑野志雄は椅子の背もたれに寄りかかり、骨ばった指でスマホの画面をタップしながら、木場左近にいくつかのメッセージを返信した。

そのとき。

畑野志雄は顔を向けて奥田梨子を見つめ、瞳の色を深めながら言った。「梨ちゃん、まだ指輪はないけど、今プロポーズしてもいい?」

奥田梨子は顔を上げず、箸を噛みながら答えた。「いいよ。」

この瞬間、彼女の心の中ではプレーリードッグが悲鳴を上げていたが、それを知る人はいないだろう。

畑野志雄の瞳には笑みが宿っていた。

男性が最もかっこいいのはいつか?

彼女にキャッシュカードを渡すとき、ベッドの上にいるとき、彼女を甘やかすとき、そして今この瞬間だ。

「畑野さんは一生あなたと共に歩みます。」

彼は甘い言葉を多くは語らず、両手で彼女の顔を包み、熱い口づけを彼女の眉間に落とした。

眉間から心臓へと直行する。

短い言葉だけだったが、彼の瞳には愛情が満ちていた。

奥田梨子の頬は赤く染まった。

二人の対等な感情の交換、それはこういうものだったのだ。

彼女はしばらくして我に返った。

*

彼らが車で深谷市に戻る途中、大雨に遭遇した。

畑野志雄は安全のため、今回は車のスピードを落とした。

奥田梨子は文田大輔が調査した事実を受け取った。