第174章 選択

エレベーターの中。

森田綺太は優しく奥田梨子と話していた。「梨ちゃん、君の演技力でエンターテイメント業界に入らないのはもったいないね」

奥田梨子は淡々と微笑んだ。「お互い様ね。あなたの演技は私よりもっと素晴らしいわ」

二人はお互いを褒め合っていた。

森田綺太は複雑な表情で顔を傾け、奥田梨子を見つめた。今でも彼女が緊張や恐怖を感じているようには見えなかった。

「畑野志雄が私の手から君を救い出せると思う?」

彼はのんびりと尋ねた。

奥田梨子は上昇するエレベーターを見上げた。手のひらは緊張で汗ばんでいた。彼女は死ぬほど緊張していたが、表面上は冷静を装っているだけだった。

彼女は無関心そうに答えた。「畑野さんが私を救えるかどうかわからないけど、私の命があなたの手の中にある以上、教えてください。あなたが抱いている子供は山田青子と誰の子供なの?」