第173章 人質

「BOSS、奥田さんはすでに出発しました。私たちの者が彼女を迎えに行っています」木場左近はエレベーターのボタンを押しながら敬意を込めて言った。「現在、我々の人間は森田綺太側の脱出経路をすべて封鎖しています」

エレベーターのドアが開き、ボディーガードが車椅子を押してエレベーターに入り、木場左近もそれに続いた。

木場左近は実のところ、今回の畑野志雄のここへの訪問に賛成していなかった。体調が回復していないのに、何が起こるか分からないからだ。

森田綺太側がこの期間、警戒して勢力を整えていたため、今回は彼らが先手を打つしかなかった。

同時に。

畑野志雄に成りすましていた森田綺太は、自分の勢力が一網打尽にされたという知らせを受けた。

森田綺太は顔色を曇らせて立ち去ろうとしたが、山田青子に止められた。「畑野さん、畑野おじさんがあなたを探しています」