第180章 ウェディングフォト

森田家の三人の主人が現れた。

皆が次々と立ち上がって祝福の言葉を述べた。

ただ、心の中では森田綺太が現れなかったことが気になっていた。

森田雄大が壇上に上がり、数言葉を述べ、森田綺太が現れなかった理由を説明した。「息子は海外で用事があるのですが、彼が今夜来るかどうかは重要ではありません。今夜最も重要なのは、皆さんに我が森田家の嫁、奥田梨子を正式に紹介することです。」

奥田梨子は森田奥様の手を取り、優雅に壇上へ歩いていった。

畑野志雄の深い眼差しは、ずっと壇上のその姿を追い続けていた。

奥田梨子はマイクを受け取り、微笑んだ。

それは美しく自信に満ちた、そして大らかな笑顔だった。

彼女は数言葉を述べ、森田奥様がマイクを受け取ると、言葉の端々で奥田梨子を褒めていた。

三人が壇上から降りると、森田雄大は隣の主賓テーブルへ客人をもてなしに行った。

一方、奥田梨子と森田奥様は金城夫人のテーブルに座った。

森田奥様は金城夫人と話したかったので、二人は隣同士に座り、奥田梨子は畑野志雄の隣の空席に座るしかなかった。

畑野志雄は立ち上がり、彼女のために椅子を引いた。

奥田梨子はお礼を言って座った。

山田青子は顔を上げて奥田梨子と畑野志雄を一瞥し、目を伏せた。

森田奥様は振り返って奥田梨子に、先に少し食べて腹ごしらえをするよう言い付けた。この後、奥田梨子は乾杯の挨拶回りをしなければならないからだ。

金城夫人は微笑んで、「霧子、あなたもようやく安心したわね」と言った。

森田奥様の名前は狭山霧子という。

森田奥様は笑顔がこぼれるほど嬉しそうだった。「本当にそうよ。時間があったら森田屋敷に遊びに来てね。私のところでは多くの農産物を栽培しているのよ」

「ええ、ぜひ」

給仕がテーブルに料理を運んできた。

奥田梨子はウェットティッシュで手を拭いた。

畑野志雄は箸を取り、奥田梨子のために料理を取り分けた。「この料理は美味しいよ、試してみて」

森田奥様は驚いて畑野志雄を見たが、特に何も考えなかった。

実は森田家がパーティーを開催する際、本来は畑野家に招待状を送るつもりはなかったのだが、森田綺太が電話をかけてきて、畑野志雄に招待状を送るよう言ってきたのだ。

森田夫妻は密かに、息子と畑野志雄の関係が改善されたのではないかと推測していた。