病院の廊下で、岡部俊雄は焦りながら待っていた。
彼は時々、救急室の方向を見やっていた。
そのとき、病院の廊下の奥から、畑野志雄と木場左近が駆けつけてきた。
畑野志雄の表情は沈み、冷たさを帯びていた。「梨ちゃんは?」
岡部俊雄が答える前に、傍らに立っていた鈴木淑子が先に言った。「BOSS、梨は一般病棟に移されました。」
岡部俊雄は驚いて鈴木淑子を見た。「いや、社長はまだ救急室の中にいます。」
この女、頭がおかしいんじゃないか。
畑野志雄は眉をひそめて鈴木淑子を一瞥し、それから岡部俊雄に向き直った。「梨ちゃんはどこを怪我したんだ?一体何があったんだ?」
岡部俊雄の表情も良くなかった。「詳しい状況はまだわかりません。社長が梨志財団のトイレで誰かに突き飛ばされたということだけは知っています。具体的に何が起きたのか、まだ調査する時間がありませんでした。」