第290章 同時に口を開く

飛行機が深谷市に到着した。

深谷警察署も全力で協力し、すでに沿道の監視カメラ映像を調べていた。

遠野刑事は電話で現場の警察官と連絡を取り、情報を常に更新していた。

そのとき、畑野志雄の携帯が鳴った。部下からの電話だった。

「ボス、あるスイーツショップの外の監視カメラで、1時間前にその男が黛子さんを連れて、彼らがバンに乗り込むところを確認しました。映像はすでにお送りしました。今、そのバンの行方を追っています。」

畑野志雄はパソコンを開き、メールの中の映像を確認した。

奥田梨子もパソコンに近づいて見た。

「川木信行？」奥田梨子は眉をひそめた。

畑野志雄はその映像を遠野刑事に転送した。

「川木信行に状況を聞くために人を派遣します。」畑野志雄はすぐに電話をかけた。

川木信行は葉山麗奈たちとレストランを出たところだった。畑野志雄の部下が彼を探しに来るとは思わなかった。彼はスイーツショップで起きたことを思い出し、心の中で見当がついた。

葉山麗奈は眉をひそめ、声を低くして川木信行に詰問した。「また何かやったの？」

川木信行は首を振った。「何でもないよ。先に車に乗って待っていて。」

葉山麗奈は彼を睨みつけ、葉山智の手を引いて車に乗り込んだ。

畑野志雄の部下である河野民雄は、携帯の映像を開いて尋ねた。「川木さん、この男性と小さな女の子を知っていますか？」

川木信行は平然と映像を一瞥し、表情を変えずに言った。「知りません。私はその時お金を拾って、この男性が落としたのかと思いました。その小さな女の子も知りません。」

河野民雄は川木信行の顔をじっと見つめ、微笑んだ。「本当に知らないのですか？そのバンがどの方向に向かったか見ましたか？ナンバープレートは見えましたか？」

川木信行は首を振った。「申し訳ありませんが、気にしていませんでした。」

同時に、畑野志雄の携帯が再び鳴った。部下からの電話だった。「そのバンの位置を特定しました。郊外に向かいました。郊外には監視カメラがなく、捜査は非常に困難です。」

畑野志雄は眉をひそめ、低い声で言った。「引き続き人員を増やして捜査を続けろ。」

電話の向こうの人は了解し、電話を切った。

畑野志雄は車の中に座り、携帯を強く握りしめ、眉間にしわを寄せていた。