第013章:思い切って古川真雪を再び娶ろう

一方、古川真雪を追いかけていた久保清森は、説明しようとした言葉を飲み込まざるを得なかった。後で真雪と二人きりになった時に話そうと思った。

真雪は感情を抑え、親しげに長谷執事に挨拶した。「長谷執事、お久しぶりです。最近はお元気そうですね。」

「本当にお久しぶりです。奥様はなぜもっと頻繁に旦那様とご夫人、そして私に会いに来てくださらないのですか。」

「長谷執事、これからは真雪と呼んでください。そのほうが親しみやすいですから。」

彼女の冗談めいた言葉の裏には、実は自分が清森と離婚したことを長谷執事に思い出させる意図があった。

しかし長谷執事は真雪の暗示に気づかないふりをして、きちんとした口調で言った。「奥様はあくまで奥様です。どうして分を越えてお名前でお呼びできましょうか。」

真雪は長谷執事の心中を察し、これ以上呼び方について議論するのをやめて、話題を変えた。

清森は真雪の隣で黙って歩きながら、心の中では少し可笑しく思っていた。なぜ自分は以前、真雪が深い腹黒さを持つ女性だと誤解していたのだろう?少し時間をかければ、彼女が世間で噂されているような人間ではないことがわかったはずなのに。結局のところ、彼は彼女と彼らの結婚をあまりにも軽く考えすぎていたのだ。

耳に入ってくる老若の軽やかな会話に、彼は懐かしさを覚えた。

過去三ヶ月間、家に帰って長谷執事と一緒に玄関からリビングに入る時、何かが足りないと感じていた。今になってようやく気づいた...それは真雪の存在だった。長谷執事と冗談を言い合いながら歩くのが好きなあの小柄な女性がいないことに。

三年という時間は長いとも短いとも言えるが、真雪が彼の習慣の一部になるには十分な時間だった。

彼は彼女の存在に慣れ、彼女と同じ屋根の下で生活することに慣れ、そして彼女が彼の妻であることにも慣れていた。

面倒なことが嫌いな清森は、真雪という習慣を断ち切るのは本当に面倒だと感じた。だからその瞬間、彼は思い切って真雪をもう一度妻として迎え入れることを決意した。

しかし、感情面では鈍感な清森が気づいていなかったのは、彼が心の中で真雪を再び妻にする理由や口実を何千も考え出していたのは、結局のところ、心の底から真雪と一緒にいたいという事実を覆い隠すためでしかなかったということだ。

三人がリビングに入ると、久保母の白川悠芸はダイニングでニュースを見ていた。

足音と会話の声が聞こえてきたとき、彼女は顔を上げて近づいてくる清森と真雪を見た。

「お母さま。」いつものように、真雪は悠芸に丁寧に挨拶した。

ただ違うのは、彼女の悠芸への呼びかけが「お母さん」から結婚前の「お母さま」に戻っていたことだった。

悠芸は美しい眉をわずかに寄せ、不満げに言った。「この子ったら、なんてよそよそしいの。ほら、お母さんの隣に座りなさい。」

真雪は悠芸の隣に座り、かわいらしく微笑んだが、先ほどの彼女の不満には返答しなかった。

「清森、お父さんが書斎で待っているわよ。」

「うん。」清森はうなずき、真雪を一瞥してから階段の方向へ歩いていった。

清森がリビングを出ると、悠芸は真雪の手を握り、心配そうな表情で尋ねた。「正直に言いなさい、清森が何かあなたに酷いことをしたの?」

「お母さま、清森はいつも私に優しくしてくれました。酷いことなんて何もありません。」

悠芸は真雪の言葉が本当ではないことを見抜き、無力感とともにため息をついた。

「あなたね、もし清森があなたに何か酷いことをしたなら、お母さんに言いなさい。お母さんが彼を叱ってあげるから。どうして離婚にこだわるの?あなたのお父さんはあなたを私たち久保家に託したのよ。私たちはもちろん心を込めてあなたを大切にするわ。今はあなたのお父さんも亡くなって、清森とも離婚して、一人で頼るものもなく、どうやって生きていくつもりなの。」

悠芸の思いやりのある言葉は、暖かい流れのように真雪の心に染み渡り、彼女はかつて感じたことのない柔らかさと幸福感に包まれた。