第021章：私、古川真雪が久保清森を振ったのよ

しかし、いつもと違うのは、今回彼は夏目宣予と一緒に出席せず、二人は前後して5分の差で到着した。これでは二人が何か関係を隠すために一緒に宴会に来なかったのではないかと疑わざるを得なかった。

「清森と宣予は本当に付き合ってるのかな？こうして前後して宴会に来るなんて、わざとらしく見えるわ。まるでウェイボーの暴露を黙認してるみたいね」

古川真雪は淡々とした表情で独り言を言っている綾部久辰を横目で見て、赤い唇の端にかすかな弧を描いた。「才色兼備の二人、何の問題があるの？」

久辰は信じられないという顔で隣の真雪を見た。「姉さん、心が広すぎるよ！あの人はあなたの元夫だよ！」

真雪はウェイターのトレイからシャンパングラスを一つ取り、何事もないかのように答えた。「そう、元夫であって夫じゃないわ」

その言葉の意味するところは…既に過去のことなのだから、なぜ時間と心を無駄にして気にする必要があるのか？ということだった。

久辰はちっと舌打ちし、真雪に反論する言葉が見つからず、心の中で「冷たい人だ！」と文句を言うしかなかった。

「真雪、最近元気？ずっと連絡が取れなくて、心配してたのよ」

甘く清らかな女性の声には心配の色が混じり、言葉にも心配の意が満ちていた。

真雪の唇の端にはかすかに皮肉めいた笑みが浮かび、そして優雅な姿勢で振り返り、後ろに立っている女性、白川思花を見た。

久辰は誰かが真雪に話しかけるのを見て、彼女に軽く眉を上げ、少し離れることを示してから、その場を離れた。

「とても元気よ」彼女は軽く頷き、眉間に柔らかな微笑みを漂わせた。

「あなたが無事で安心したわ。ニュースを見たとき、あなたが振られたことでショックを受けてるんじゃないかって、どれだけ心配したか分からないわ」

思花の表情はあまりにもリアルで、もし真雪が彼女をよく知らなければ、彼女の素晴らしい演技に騙されるところだった。

白川思花とは何者か？それは真雪が死ねばいいと思っている女性だ！彼女が真雪を心配する？それこそ天地がひっくり返るような冗談だ！

真雪は驚いたように目を見開いて尋ねた。「誰が私が振られたって言ったの？」

彼女の言葉に思花は少し戸惑い、それから口ごもりながら「ニュースでは…」

言葉が終わる前に、真雪が軽く笑い出した。まるで彼女が何か面白い冗談を言ったかのように。