古川真雪は彼の目の中から、なぜ許可しないのかと問いかけていることを読み取った。
「もしこのレストランが本当に成功したら、みんなはきっとあなたの功績だと言うわ。私はただあなたの光を浴びただけだって」
過去三年間と同じように、どれだけ自分の能力を示そうと努力しても、いつも否定されてきた。みんないつも当然のように、彼女が彼のおかげですべてを手に入れたと思っていた。
彼女の隣にいる彼があまりにも優秀すぎるため、人々の注目は彼に集中し、彼女の努力や貢献は無視されていた。
彼女は認めざるを得なかった。この偏見に少し不満を感じていることを。
「なぜ他人の考えを気にするんだ?」
真雪は首を振り、軽い口調で言った。「気にしてないわ。ただ、あれだけ努力したのに、最後にあなたがすべての栄誉を得るのは、すごく腹が立つだけよ」
「匿名で投資することもできる」
「清森、なぜそんなに投資したいの?」
「ビジネスチャンスを見たからだ」
真雪は口をとがらせた。久保清森がでたらめを言っていることはわかっていたが、彼がなぜそこまで投資にこだわるのか理解できなかった。
彼女が信じていない様子を見て、清森は手にした包丁を置き、真剣な表情で真雪を見つめた。「叢雲産業傘下のチェーンレストランはすべて中華料理系列だ。日本料理に進出する計画があるんだが、その前に日本料理店の経営に慣れる必要がある。だから投資したいと思っている」
清森の言葉には説得力がなかった。本当に日本料理に進出したいなら、有名な日本料理ブランドを買収すればいい。
しかし、なぜか、このように真剣で厳格に、忍耐強く説明する清森を前にして、真雪は判断力を失ったかのように、彼の言葉を何の疑いもなく信じてしまった。
真雪は手にしたリンゴの芯をゴミ箱に捨て、最後に清森を見上げた。「わかったわ。後で唐田秘書に大家と連絡を取ってもらって」
その言葉の裏には、清森の出資を認めるという意味があった。
「ああ、シャワーを浴びてきてくれ。粥を作るから、後で一緒に食べよう」
真雪はうなずき、立ち去る前に、少し嫌そうに清森を横目で見た。「料理するのって、お粥屋さんで買ってくるより面倒くさそうね」
清森の薄い唇がわずかに曲がったが、答えはしなかった。
お粥屋で粥を買うことが、彼女の家で料理する楽しさに勝るわけがない。
……