第027章:今後は幸せを共に、苦難はあなたが担う

彼女が到着した時、唐田浩良と家主、そして双方の弁護士はすでに来ていた。彼女は自分の遅刻を謝罪してから席に着いた。

「奥さ……」奥さんという呼びかけがまだ終わらないうちに、浩良は古川真雪から投げられた視線を受け取り、空気を読んで言い直した。「古川様、具体的な条件については私と溝口さんですでに話し合い、契約書も印刷してあります。堀江弁護士が契約内容を説明しますので、もし異議がなければ、サインするだけで結構です」

真雪はうなずき、堀江弁護士は契約書を真雪の前に置いて、詳細な内容を説明した。

当初、真雪はこの二階建ての建物を借りるつもりだったが、思いがけず久保清森がこの建物全体を買い取ることになった。

堀江弁護士が契約内容の説明を終えると、真雪は何も意見がないと述べた。この建物の売却価格は少し高かったが、大金持ちの清森が資金を出すので、彼女も値段交渉をする気にはならなかった。

彼女が双方の契約書にサインした後、残りの手続きは堀江弁護士と浩良に任せた。

浩良に別れを告げ、カフェを出ると、真雪はカフェの入り口に見覚えのある黒いベントレーが停まっているのを見た。

運転手はカフェから出てきた真雪を見るとすぐに車から降り、丁重に彼女にお辞儀をした。「古川様、社長が車内でお待ちです」そう言って案内するジェスチャーをした。

真雪は軽くうなずき、長谷運転手は後部座席のドアを開けた。

後部座席に座っていた久保清森はドアが開く音を聞くと、タブレットから目を離し、まだ車外に立っている真雪の方を見た。

今日の天気は良く、日差しが明るかった。彼女は微笑みを浮かべて日の光の中に立ち、柔らかな光に包まれた姿は、人を魅了する上品で静かな気品を映し出していた。

真雪は運転手にお礼を言い、優雅に車に乗り込み、清森の隣の席に座った。

清森は左手を車窓に置き、窓の外からの日差しが彼の長く白い、関節のはっきりした手に当たっていた。彼は穏やかな目で窓の外を素早く通り過ぎる景色を見つめながら、薄い唇を開いて尋ねた。「話はどうだった?」

真雪はうなずき、赤い唇に穏やかな笑みを浮かべた。「うまくいったわ、ありがとう」

清森は視線を真雪に向けた。「当然だよ、僕は君のパートナーだから」