第051章:あなたの顔、とても赤い

言葉が終わるや否や、彼女は振り返ってブルースを久保清森の目の前に差し出した。

清森はブルースを受け取り、おとなしく彼の腕の中に収まっている犬の頭を撫でながら、唇に微かな笑みを浮かべた。「君と小さな奴、仲良くやってるみたいだね」

古川真雪は彼の腕の中のブルースを見つめ、口元を優しく上げ、顔に温かく美しい笑顔を浮かべた。「まあまあかな。そうそう、この子はブルースっていうの」

「うん、ブルース、こんにちは。僕は清森だよ」

彼がブルースに親しげに挨拶する様子に、真雪は思わず微笑んだ。人と犬を一瞥した後、彼女は階段を上がって部屋に戻り、着替えることにした。

真雪が着替えを済ませて階下に降りてくると、清森がソファに座ってブルースと遊んでいるのが見えた。ほんの少しの時間で、人と犬はすでにとても打ち解けているようだった。

かすかな足音を聞いて、清森は笑みを含んだ瞳を上げ、優雅に歩いてくる真雪を見つめた。

「準備できたよ」

清森は手に持っていた噛むおもちゃをブルースの口に入れ、脇に置いてあったコートを手に取って立ち上がり、余裕のある仕草でコートを着た。

「行こうか」

彼は少し前に歩み寄って真雪に近づき、習慣的に手を伸ばして彼女の手を取ろうとした。

しかし真雪は彼の意図を察したようで、彼が手を伸ばそうとした瞬間、先に足を踏み出し、歩きながらつぶやいた。「この天気は鍋にぴったりだね。鍋を食べに行かない?」

彼女が自分との接触をやや拒んでいるのを感じ取り、清森はあきらめて彼女の後ろをついて歩きながら、優しい声で答えた。「うん、君に任せるよ」

真雪は最初、清森と一緒に鍋料理店に行くのだと思っていたが、車は意外にも団地近くのスーパーマーケットの駐車場に停まった。

彼女は少し不思議そうに首を傾げて清森を見つめ、尋ねた。「スーパーに来たのはどうして?」

「食材を買うんだ」

「私たち...鍋料理店に行くんじゃないの?」

清森は振り向いて、真雪に向かって淡い笑みを浮かべた。

駐車場の街灯がガラス窓を通して彼のすっきりとした顔立ちを照らし、彼の眉間に広がる笑みは冬の寒さの中、雲間から差し込む一筋の暖かな陽光のようで、人を魅了する輝きを放っていた。

真雪は彼の笑顔に満ちた顔をぼんやりと見つめ、心臓が制御不能に早く鼓動し始めた。

「君の料理が恋しくなったんだ」