第069章:誰があなたの寄付品を受け取る勇気があるのか

当時の彼女は久保清森と知り合ってまだ間もなく、清森が学校で開催される音楽会で演奏すると聞いて、何とかしてその音楽会に参加しようと思った。

当時、清森が通っていた私立高校は市内で最も有名で、学校は質を重視して量を求めず、そのため、この私立学校に入学できる学生は皆、高官や貴族の家庭背景を持つだけでなく、並外れた才能も必要だった。

学校の音楽会のチケットは校内の教師や生徒、そして彼らの家族や友人にのみ販売されていた。

古川真雪は父親に頼んで、その学校に勤務している教師の一人から、高額を払って音楽会の前列席のチケットを手に入れてもらった。

音楽会は全部で15の演目があり、清森はトリを務めていた。

当時、彼と共演していたのは美しい容姿の女子学生で、真雪は客席に座りながら、その女の子が清森と共演できる幸運をどれほど羨ましく思ったことか。

当時の清森は落ち着いた姿勢でピアノの前に座り、スポットライトが彼に当たる中、彼の指は黒と白の鍵盤の上を軽やかに踊り、美しい旋律が彼の指から溢れ出ていた。

真雪は呆然と客席に座り、舞台上の星のように輝く清森を見つめながら、彼への恋心はまるで発酵するパン生地のように、止まることなく、止まることなく膨らんでいった。

その時、彼女はヴァイオリンをしっかり練習して、いつか、あの美しい女の子のように、清森と一緒に演奏できる幸運に恵まれたいと決心した。

努力すれば報われることもある。

しかし、恋愛においては、必ずしもそうではない。

何年もの努力の末、彼女はついに清森と共演できるほど優秀になったが、彼の心の中に留まることはできなかった。

一曲が終わり、真雪は清森に向けていた視線を戻し、ゆっくりとヴァイオリンを下ろした。

「真雪、君の演奏はますます素晴らしくなっているね」

真雪は微笑んで、「ありがとう」と言い、ヴァイオリンをケースに戻した。

清森は椅子から立ち上がり、片手をズボンのポケットに入れ、真雪の後ろへと歩み寄った。

彼はポケットから精巧なジュエリーボックスを取り出し、手慣れた動作でそれを開け、中からダイヤモンドのネックレスを取り出した。

うつむいてヴァイオリンを片付けていた真雪は、清森の手が自分の首に回るのを感じ、次の瞬間、冷たい感触が肌に広がった。