彼女が携帯を再びベッドサイドテーブルに戻そうとしたとき、携帯がもう一度ブルブルと振動した。彼女は再び匿名の人物からのメッセージを受信した。
いつものように、メッセージの内容は一枚の写真だけだった……写真には、久保清森が夏目宣予を抱きかかえてホテルに入るところが写っていた。
古川真雪は口をへの字に曲げ、携帯を機内モードにしてから再びベッドに横になった。
しかし、彼女の睡眠の質はもともとよくなく、突然起こされたことで、もう少しの眠気も失われてしまった。
しばらく寝返りを打った後、彼女はベッドに座り直し、ベッドサイドテーブルを開けて、そこにあった本を取り出して読み続けた。
四時半になってようやく眠気が訪れ、彼女は急いで本を置き、電気を消して再び横になった。
朝の九時、真雪は悪夢で目を覚まし、ベッドから起き上がったところで、部屋のドアが静かにノックされた。
真雪がベッドから立ち上がると、ドアの外には真剣な表情の中島黙が立っていた。彼女は不思議そうに尋ねた。「何かあったの?」
「ああ」黙はうなずき、手に持っていたタブレットを真雪に渡した。
タブレットには芸能スクープTVの最新ニュースが表示されていた。内容は……
「叢雲産業グループ会長久保清森の元妻古川真雪が、昨日芸能スクープTVが報じたニュースに不満を抱き、怒りながら芸能スクープTV編集長に連絡し、ニュースの削除を脅迫した。
昨夜、ネットユーザーからの中傷に耐えられなくなった古川真雪は編集長にメールを送った。メールの内容は2日前(白川大老のひ孫の満月祝いで、二人がメディアの前で手をつないで席を離れた日)の夜、久保会長が夏目宣予をホテルに連れて行く写真だった。
古川真雪の行動は、自分の潔白を証明し、責任を逃れようとしているようだ……
………」
真雪は素早くニュースに目を通し、美しい眉をきつく寄せた。
「君のメールボックスを見せてくれないか。誰かが君のメールアカウントを盗んだかもしれない」
「書斎のパソコンのパスワードは大学時代と同じよ。覚えてる?」
「ああ」
「ありがとう、先輩。私、先に顔を洗ってくるね」
「確かに大変だよ。顔を洗ったら、豪華な朝食を用意してくれよ」
真雪の眉間の苛立ちは、彼の冗談でたちまち消え去った。「わかったわよ」