第018章:どうして勝手に入ってきたの

彼女の譲らない様子を見て、久保清森はもう彼女をからかうのをやめた。「早く休みなさい、おやすみ」

古川真雪は面倒くさそうに手を振った。「うん、気をつけて帰ってね」

清森は最後に彼女を一目見てから、やっと立ち去った。

彼が去った後、真雪はようやく彼のコートが自分の肩にかかったままだったことに気づいた。

「次に返せばいいか」小さな声でつぶやいた後、真雪は玄関のデジタルロックに暗証番号を入力し、ドアを開けて家の中に入った。

真雪が今住んでいる家は、清森が離婚する時に彼女に残した家で、二人が結婚した時の新居だった。

家は市の中心部の最も繁華な地域に位置しており、そのため土地の価格は非常に高かった。

寂庵レジデンスと呼ばれるこのマンションは、叢雲産業グループによって開発されたもので、敷地内には4棟の建物があり、各棟は30階建てで、各階には2つの部屋しかなく、各部屋の占有面積は非常に広かった。このマンションに住んでいるのは、高い地位と身分を持つ人々ばかりだった。

真雪が住んでいるこの部屋は15階と16階を貫通しており、当初清森は有名なインテリアデザイナーに依頼してメゾネットタイプにし、内装は完全に清森の好みとスタイルに合わせてデザインされていた。

二人が離婚した後、真雪は再びデザイナーを雇って家を再設計し、依然としてメゾネットタイプのスタイルを維持しながらも、内装や家具は彼女の好みに合わせて変更した。再度の改装後、家は以前よりもさらに居心地の良い空間になった。

そのため、清森が3ヶ月ぶりにこの家に足を踏み入れた時、家の中が一新された景色を見て、思わず驚きの表情を浮かべた。

彼はスーツの上着を脱いでソファに置き、キッチンに行って自分のために温かい水を一杯注いだ。

「そうよ、私はそう考えているの。だから綾部社長、妹に少し投資してくれない?」

「ふん、私みたいな美人な女社長がいるのに、赤字になるわけないでしょ?」

「はいはい...あっ、うわっ!」

真雪は綾部子遠と電話をしながらキッチンに向かっていたが、キッチンで背中を向けた見慣れたシルエットを見た瞬間、思わず驚きの声を上げた!

電話の向こうの子遠は彼女の突然の「うわっ」という叫び声に少し戸惑い、「どうしたの?」と尋ねた。

「後で電話するわ」そう言い捨てると、彼女は電話を切った。