第175章：夫婦関係は友達から始まる

二人の子供たちはペンを置き、嬉しそうに古川真雪が渡した赤い封筒を受け取り、何度も彼女に感謝し、祝福の言葉を述べた。「ありがとう、おばさん。春節おめでとうございます。お体に気をつけて、早く叔父さんと赤ちゃんを作ってくださいね」

真雪は苦笑いしながら二人の頭を撫でた。「あなたたち、お世辞が上手ね」

「へへへ」二人は彼女に向かって笑顔を見せた。

陽子は手を伸ばして机の右側にある一番上の引き出しを開け、中から万年筆を取り出して真雪に渡した。

真雪は彼女が差し出した万年筆を見つめ、少し驚いた様子で「この万年筆がどうしてあなたのところにあるの？」

久保清森は子供の頃、間違いを犯すと、白川悠芸によく罰として書き写しをさせられていた。そのおかげで彼は美しい字を書けるようになった。

清森が大学を卒業した時、彼女は特別に高価な万年筆を注文して彼にプレゼントした。その万年筆には彼の名前のイニシャルXYSが刻まれていた。

陽子は茶目っ気たっぷりに舌を出して説明した。「叔父さん、この万年筆をすごく大事にしているんです。この前、智子がしつこくお願いして、やっと貸してもらったんです。でも後で叔父さんが急用で、電話を受けて急いで出かけて、万年筆をここに忘れていったんです」

彼女は万年筆を受け取り、優しい声で言った。「叔父さんの万年筆を預かってくれてありがとう。私が代わりに預かっておくわ」

智子は真雪に向かって笑顔を見せ、「おばさん、叔父さんに伝えてほしいんだけど、僕もこの万年筆が好きだから、もし要らないなら僕にくれてもいいよって」

真雪の聞き間違いかもしれないが、智子の声には少し茶目っ気のある皮肉が含まれているように感じた。

「わかったわ、彼に伝えておくわね」

真雪は二人の子供たちと書斎でもう少し字の練習をし、絵本を読んであげ、その後キッチンに連れて行ってクッキーを一緒に焼いた。

陽子と智子のおかげで、彼女はこの一日をとても楽しく過ごすことができた。

帰る前、白川任明は真雪と別れを惜しむ二人の孫を見て、からかうように言った。「真雪は本当に子供たちに好かれるね。清森と頑張って、今年も一人作ってみたらどうだい」

新年だったので、真雪は自分と清森がすでに離婚していることを白川任明に思い出させるのは気が引けた。「離婚」という言葉は縁起が悪いからだ。