第046章:これらは全て根も葉もない噂だ

彼女が知らないのは、久保清森と曾田綺茜の二人がともに商人であり、利益関係が生じれば、二人の身分的な対立がどれほど大きくても、自然と知り合いになるということだった。

古川真雪と清森は前後して階段を降り、真雪は退屈そうにリビングのソファに座ってテレビをつけ、時々視線で清森に帰るべきだと合図を送った。

しかし清森は見ていないふりをして、真剣な表情でテレビ画面を見つめていた。

「昨日、ウェイボーでユーザーが人気モデルの夏目宣予に近々おめでたいことがあると暴露し、これは宣予の業界内の友人から直接漏れた情報だと述べています。ネットユーザーたちは、宣予と婚約するとされる男性が、最近離婚したばかりの叢雲産業グループ会長の久保清森ではないかと推測しています。

さらに別のユーザーが長文の投稿で、宣予と清森の間の言い難い関係を分析しました……

清森氏の父親である久保知昊は4年前に退任し、叢雲産業グループは満場一致で清森氏を新会長に選出しました。

清森氏が就任してからわずか2週間後、モデル業界で2年間活動していたものの全く知名度のなかった夏目宣予が、所属事務所との契約を破棄し、100万元の違約金を支払って叢雲産業傘下のエンターテイメント会社と契約しました。

宣予が契約して以来、会社は彼女を全面的に売り出し、大小の広告を次々と獲得させ、さらに各有名ブランドのファッションショーにも推薦しました。会社のこの行動に対し、他のモデルたちは不満を漏らしていました。

当時、叢雲エンタメで最も人気のあったモデルの吉田語春も、会社の対応に不満を漏らしたことで契約を解除され、それ以来人気が急落しました。

半年後、芸能記者が宣予と清森が肩を並べてナイトクラブに入る写真を盗撮しましたが、その写真はネット上で公開されてからわずか1時間で削除されました。

3年前、清森氏が結婚する2ヶ月前にも、宣予を伴って友人の誕生日パーティーに出席し、待ち伏せしていた芸能記者に撮影されましたが、同様に写真はネット上で公開されてから1時間で削除されました。

清森氏と前妻の古川真雪さんが結婚していた3年間、清森氏は5回も宣予を伴ってパーティーに出席し、さらに宣予に関連する授賞式には必ず出席していました。