彼女の瞳は魅惑的で、人を惹きつけてやまなかった。
久保清森は思わず右手の人差し指を伸ばし、彼女の蝶の羽のような右目のまつげに軽く触れた。
彼の指先に触れられ、古川真雪は無意識に軽く瞬きをした。
蝶の羽のような長いまつげの下に嵌め込まれた宝石のように輝く瞳には、薄い酔いの色が浮かんでいた。
彼は手を引っ込めたが、指の腹には彼女のまつげが指の間を撫でた時の柔らかな感触が残っていた。
「真雪、すべての深い愛情は裏切られるべきじゃない。君の深い愛情は俺という屑に後悔をもたらした。今度は俺の深い愛情で君の心を取り戻したいんだ」
「心を取り戻す?」真雪はこの言葉を鼻で笑った。「良い馬は古い草を食べないわ」
清森はハイチェアから降り、一歩前に進み、彼と真雪の間の距離を縮めた。
真雪は少し顔を上げ、目の前に立つ彼を見つめた。
逆光の中、彼の美しい輪郭の薄い唇の端には、かすかな邪な笑みが浮かんでいた。彼は唇を開き、尋ねた。「その『草』って、名詞?それとも動詞?」
言葉が落ちると同時に、彼の整った顔立ちが真雪の目の前でどんどん大きくなり、彼女が我に返った時には、唇に柔らかなものが覆いかぶさっていた。
真雪の唇は綿菓子のように甘く、口に入れるとすぐに甘い蜜のように溶け、清森を虜にした。
彼のキスは優しく情熱的で、真雪は抵抗することも、もがくことも忘れ、予期せぬまま彼の優しさの網に絡め取られていった。
天井からの柔らかな光がバーカウンターの前で絡み合う二人の上に降り注ぎ、甘美な雰囲気が二人を包み込んだ。
真雪の両手は清森の腰の白いシャツをしっかりと掴み、清森のキスは徐々に彼女の唇から小さな顎へ、美しい首筋へ、そして魅惑的な鎖骨へと移っていった。
窓の外の月明かりは夢のように柔らかく、すでに春のような季節で、そよ風には少し涼しさがあったが、冬のような厳しさはなかった。
キッチンで二人が情熱的になっていた時、静かな家の中で突然ドアベルの音が鳴り、続いて鈍い音のノックが聞こえた。
真雪は甘美な抱擁から急に身を引き、理性が不意に粉々に砕け散った。
くそっ!
真雪は思わず心の中で汚い言葉を吐いた!
彼女の後悔と困惑に満ちた表情に、清森は何故か笑いを感じ、理性を取り戻した真雪が今夜は自分に身を任せることはないだろうと悟った。