第066章：元妻の家で食事をたかるのは良い習慣ではない

「最近落ちぶれて毎日私の家で食事をたかるようになったの？」からかいの言葉には明らかな嫌悪感が混じっていた。

久保清森は真雪の言葉の意図を聞き取らなかったふりをして、むしろ興奮気味に口を開いた。「毎日？それはいい考えだね。君が嫌がらないなら、これからは毎日来て食事をご馳走になるよ」

「……！！」彼女はそんなつもりじゃなかったのに！！

古川真雪は冷静に清森を横目で見て、相手にするのも面倒くさそうにブルースを抱きかかえて背を向けた。

ブルースは彼女の肩に前足を置き、その場に立ち尽くす清森を名残惜しそうに見つめていた。振り返る瞬間にも非常に悲しげに鳴いて、まるで真雪が無理やり二人を引き離そうとしているかのようだった。

「この忘恩の小僧め、たった一日会わなかっただけなのに、もう外の人に靡いちゃって」

真雪はブルースの毛を優しく撫でながら、清森に対する過度に友好的な態度に不満を装って文句を言った。

彼女が家に戻ってから5分も経たないうちに、ドアベルが鳴った。

真雪はモニターで外の人を確認すると、思わず眉を上げた。

ドアを開け、無表情で5分前に会ったばかりの清森を見つめた。「どうしてここに？」

「ブルースのおもちゃが私の家に忘れられていたから、持ってきたんだ」そう言いながら、手に持った大きな袋を掲げた。

真雪は彼の手の大きな袋をちらりと見ると、確かにおもちゃが入っていた。「これはブルースのものじゃないわ」

彼女がブルースを綾部久辰の家に連れて行った時、急いでいたためブルースのおもちゃを持っていくのを忘れ、食べ物だけを持っていった。

「これは私が彼のために買ったんだ」

「それで？」

「だから彼にプレゼントしたんだ。これで彼のものになった」

真雪は口をとがらせた。「わかったわ、ありがとう」

清森が手の袋を彼女に渡し、彼女が袋を受け取ろうとした時、清森は突然もう一方の手で彼女の肩を抱き、彼女の体を軽く動かして横に向けた。

真雪は袋を手に持ったまま、ドアの前で横向きに立ち、鈍く瞬きをした。彼女の目の前には清森の姿はなく、彼はすでに狡猾に彼女の家の中に滑り込んでいた。

気づいた時、彼女は思わず笑ってしまった。清森と離婚してから、彼はどうも普通じゃなくなったような気がした。