最初は余計なことに関わらないようにと思い、昨夜投稿したウェイボーを削除しようと考えたが、しばらくして考え直した。何もなかったことなのに、投稿を削除すれば、かえって後ろめたさがあるように見えてしまう。
しばらく悩んだ後、彼女はウェイボーの件は無視することにし、久保清森に電話をかけた。
電話は数回鳴っただけで、向こうから清森の穏やかな声が聞こえてきた。「うん、真雪」
「忙しい?」
「いや、大丈夫」
「家にいる?それとも会社?」
「家だよ」
「久辰からブルースが君のところにいると聞いたんだけど、迎えに行ってもいい?」
「ああ、上がってきていいよ。部屋番号は1701で、パスワードは以前の家のやつだよ」
「私たちの家」という言葉が彼の口から自然に、当然のように出てきた。
「うん、わかった」
古川真雪はエレベーターで17階に上がり、清森の家のドアの前でパスワードを入力しようとしたとき、彼女の手は突然止まった。
礼儀として、彼女はインターホンを押した。
インターホンが鳴ってすぐにドアが開き、清森は自分より少し背の低い真雪を見下ろした。「どうして直接入ってこなかったの?」
真雪は自分の考えを直接清森に伝えず、遠回しに言った。「邪魔になるかと思って」
清森の口元に突然、不良っぽい悪戯な笑みが浮かび、黒曜石のように精巧で輝く目にゆっくりと邪気が広がった。彼は薄い唇を軽く開き、「もう肌を見せ合った夫婦なのに、何が邪魔になるっていうんだ」と言った。
からかうような言葉が彼の口から出ても、少しも違和感がなかった。
真雪はこんな不良っぽい清森を見たことがなく、思わず目を丸くした。次の瞬間、恥ずかしさを顔に表し、怨めしそうに目を上げて清森を睨んだ。
彼は恥じるどころか、低く笑い声を漏らした。
彼の笑い声はとても心地よく、玉を打つような音色で、楽しげな笑いを含み、ゆっくりと真雪の耳に入り込んだ。まるで春風が彼女の心に軽く吹き込み、浅い波紋を広げるようだった。
清森は笑いを止め、少し体を横に傾けて真雪を招き入れた。「入って。ブルースは遊んでるよ」
「抱いてきてくれればいいわ。ここで待ってるから」