第207章:冷遇されたくない小さなツンデレ

リビングにはマッサージチェアが設置されており、彼女はバッグをソファに放り投げると、マッサージチェアに座ってマッサージ機能を起動した。

久保清森がリビングに入ると、古川真雪がだらしない姿勢でマッサージチェアに座り、眉間には疲れの色が浮かんでいた。

彼はマッサージチェアの横の一人掛けソファに座り、まぶたを下ろして目を閉じている真雪を真剣な表情で見つめた。「真雪、気づいたことがあるんだけど」

「ん?」

彼女の喉から発せられた単純な一言は、少し魅惑的な響きを持っていた。

「僕たち、随分と一緒に写真を撮ってないよね」

「ああ」

「君もずっとウェイボーに僕の写真をアップしてないし」

「ああ」

清森は自分のヒントが十分明白だと思っていたが、真雪はまったく動じず、まるで気にも留めていないような様子で、彼を本当に困惑させた。

最後に、彼が真雪がすでに寝てしまったのではないかと思い始めた頃、ついに我慢できずに提案した。「一緒に写真を撮らない?」

ほとんど躊躇なく、真雪は唇を開いて彼を拒否した。「嫌」

「初めてのパートナーとしての記念写真として?」

「嫌」

真雪はゆっくりと目を開け、清森を横目で見る視線には少し嫌悪感が混じっていた。

清森は彼女の視線に打ちのめされ、ポケットからスマホを取り出してカメラを起動し、フロントカメラに切り替えて素早く一枚撮影した。

写真には、彼が口元を少し曲げ、温厚で上品な笑顔を浮かべている姿と、その背後のマッサージチェアに座る真雪が、眉をわずかに寄せ、嫌そうな表情で彼の背中を見つめている姿が写っていた。

「撮ったの?」

「うん」

「見せて」

「嫌」

「……!」

彼女の言葉に詰まった様子に、清森は思わず笑みがこぼれた。彼は楽しげに眉を上げ、優しい口調で言った。「真雪はこんなに綺麗だから、どう撮っても素敵に映るよ」

真雪は口をとがらせ、明らかに彼のお世辞には乗らない様子だった。彼女はマッサージチェアのリモコンを手に取り、マッサージを停止させてゆっくりと立ち上がった。「もういいから!お風呂に入ってくるわ。あなたも早く帰って休みなさいよ」

「先にお風呂に入ってきなよ」