第076章:もし私が欲しいのは君だとしたら?

車が道の途中まで走ったとき、助手席に座った久保清森は彼女が自分をどこに連れて行こうとしているのか、すでに察していた。

曾田綺茜は二つのナイトクラブを所有しており、そのうちの一つは高官や貴族、芸能人向けのサービスを提供し、もう一つは小金持ち層向けのサービスを提供していた。

古川真雪が向かったのは、前回綺茜に連れて行かれた、セレブリティに人気のあるシティナイトというナイトクラブだった。

クラブ内の男性客はみなスーツにネクタイというフォーマルな装いで、女性客も同様にフォーマルながらも、セクシーさと可愛らしさを失わない服装だった。

車がクラブの入り口に停まると、ドアマンが恭しく近づいて二人のためにドアを開け、真雪が運転席から降りた後、彼女に軽く会釈をし、その後運転席に乗り込んで車を駐車しに行った。

前回綺茜と一緒にシティナイトに来た時、綺茜は真雪にVIPカードをプレゼントしていた。

そのため、入り口に立っていたボディガードにカードを見せると、ボディガードはトランシーバーで何かを伝え、しばらくするとクラブのマネージャーが自ら二人を迎えに出てきた。

客を引き付けるため、ナイトクラブでは毎晩異なるテーマのショーが行われていた。

マネージャーは歩きながら二人に今夜のテーマを紹介した……ポールダンスだ。

真雪は意地悪く笑いながら、無表情の清森の脇腹を肘で軽く突き、彼に向かって眉を上げた。その不良っぽい表情は明らかに彼に言っていた——今夜はラッキーだよ。

二人がクラブのホールに入ったとき、ショーはちょうど始まったところだった。

マネージャーは二人をステージ近くのVIP席に案内し、真雪と清森がそれぞれドリンクを注文した後、真雪はハンドバッグからゴールドカードを取り出してマネージャーに渡し、フロントで2万円の現金に両替するよう頼んだ。

ホール内は音楽が耳をつんざくほど大音量で、ステージ上のダンサーたちは皆、しなやかな身のこなしで、薄くてセクシーなビキニを身にまとい、妖艶な動きでポールダンスを踊りながら、下の熱狂する客たちに媚びるような視線を送っていた。

「Make—it—rain!」

「Make—it—rain!」

ステージ下の興奮した男性たちは皆、束になった現金を手に持ち、スタイリッシュな動きで一枚一枚の千円札をステージに向かって撒いていた。