第075章：行こう、楽しい場所に連れて行くよ

「どうして知っているの？」

「知らないわけがないでしょう？私たち三年間結婚していて、あなたと夏目宣予の不倫の証拠をたくさん受け取ったわ」

古川真雪は軽く笑い、眉目に冷たい霜が降りたように、清森を見る瞳には明らかな皮肉が宿っていた。

夫の不倫は、妻への不誠実であり、さらには妻への不敬でもある。

信じられないことに、かつて彼女に不誠実で、敬意を示さなかった男が、かつて愛人の誕生日を祝った場所に彼女を連れてきて食事をするなんて。

彼女の言葉に久保清森はかなり驚き、眉を少し上げた。

「そんな顔で見ないで。あなたの行動を監視したり尾行したりしていたわけじゃないわ。ただ、退屈な人がいて、匿名のメッセージを送ってきて、あなたと宣予のデート日常を教えてくれたの」

かつて彼女はそのメッセージを送ってくる人をどれほど憎んだことか。しかし同時に、病的なほどにその人が続けてメッセージを送ってくることを期待していた。当時の彼女は、好きな人である清森が他の人にどんな態度を見せるのか、とても知りたかったから。

日々積み重なるメッセージと写真によって、真雪は気づいた。実は清森は溶けない氷河ではなく、ただ彼を溶かせる人が彼女ではなかっただけなのだと。

清森は心の驚きを抑え、真雪に辛抱強く説明した。「あの時は大勢で彼女の誕生日を祝っていたんだ。私と彼女だけじゃなかった」

「そう？うらやましいわね。上流社会や芸能界で、誕生日パーティーにあなたを招待できたらと願う人がどれだけいるか知ってる？」

言葉の中にはまだ、彼と宣予の曖昧な関係を皮肉る意味が込められていた。

清森はようやく、今日の真雪の機嫌がとても悪いことに気づいた。言葉の一つ一つにトゲがあり、彼を傷つけずにはいられないようだった。

揺れるろうそくの光が真雪の澄んだ瞳に映り込み、まるで彼女の瞳の中で炎が広がっているかのようだった。

清森は彼女を見つめる眼差しが霧に包まれたように遠く、唇を引き締めて黙り、真雪の言葉に答えなかった。

数秒後、真雪も自分の過激さと失態に気づき、視線を戻し、優雅な動きでナプキンを二つ折りにして膝の上に広げた。

清森がウェイターに目配せすると、ウェイターは落ち着いた様子で前に進み出て、二人に今日の特別料理を紹介した。