第233章：初めて店長の機嫌がこんなに良いのを見た

二人はバーカウンターで長い間話し込んでいた。藤野旭が厨房から出てきて彼らを遮り、食事の時間だと告げるまで、彼らはカウンターからテーブルへと移動した。

三人が最後に集まったのは数ヶ月前のことで、藤野は中島黙を見て非常に興奮していた。

昼食時、彼は熱心にレストランのスタッフ全員を黙に紹介した。

久保清森はいつものように、閉店間際にうお澄苑に足を踏み入れた。しかし、今日はいつもと違って、従業員たちが集まっている食卓に見慣れた姿があった。

しかもその人物は古川真雪のすぐ隣に座っていた。かなり近い距離の隣に！

清森を迎えた越智均策は、清森が真雪と黙に向ける恨めしそうな視線に気づき、笑いを堪えながら説明した。「あの方はオーナーの友人で、隣のカフェのオーナーだそうです。これからは頻繁に行き来するようになるので、オーナーとシェフが皆に紹介されたんです。」

清森は視線を戻し、手元のメニューを見つめながら、無関心を装って答えた。「そうなんですか？私も毎日のように来ていますが。」

最後の一言は何気ないようで、真雪が自分をスタッフに紹介しないことへの不満を漏らしていた。

均策は空気中に漂う酸っぱい匂いを微かに感じ取り、目を下げると、テーブルに座る清森の海のように深い瞳は底知れなかったが、その整った眉目には薄らと消えそうな委屈の色が絡んでいた。

なるほど、久保会長が嫉妬しているわけだ。

清森はメニューを閉じ、均策に渡した。「いつも通りでいいです。」

均策はメニューを受け取り、丁寧に言った。「かしこまりました。少々お待ちください。」

彼が立ち去ろうとした瞬間、清森が突然声をかけた。「越智さん。」

均策は敬意を込めて軽く頷いた。「はい、久保会長、何でしょうか。」

「君たちのオーナーの友人はどれくらい来ているんだ？」

「午前中からずっといらっしゃいます。」少し間を置いて、均策は事態を大きくするかのように付け加えた。「さっきまでずっとオーナーとカウンターで話していました。開店以来、オーナーがこんなに機嫌がいいのを初めて見ました。」

彼の言葉が落ちると、明らかに清森の目に人を震え上がらせるような冷たさが流れ始めた。

「久保会長、他に何もなければ失礼します。」

「ああ。」