白川大老は自ら恥をかくようなことはせず、夏目宣予を招待して自分の姪に迷惑をかけるようなことはしなかった。
そういうわけで、久保清森はなおさら夏目宣予を自分と一緒に宴会に招くつもりはなかった。一つには母親が不満を抱くのを避けたかったし、二つには彼女を自分の女性の伴侶として招待する気が本当になかったからだ。
「うん、たぶんね」
彼の心ここにあらずの返事に、宣予は何故か胸の内に苛立ちが湧き上がるのを感じた。しかし彼女は自分の本当の感情をうまく隠し、穏やかな微笑みを浮かべながら続けた。「残念ながら私は直接白川大老にお祝いを言えないわ。清森、その時は私からもよろしくお伝えいただけるかしら」
「ああ、わかった」
清森がこの話題に興味を示さないのを見て、宣予は自然に話題を変えた。「そういえば、いつか一緒に施設に行って様子を見てみない?この前、院長先生からメールをもらったんだけど、退職を考えているそうよ」
「確かに久しく帰っていないな。院長先生は元気かい?」
ようやく清森が興味を示す話題を見つけて、宣予の顔に浮かぶ笑顔はより柔らかく輝いた。彼女は頷いて言った。「まあまあね。ただ年齢的に少し力不足を感じているみたい」
「じゃあ、今度お見舞いに行こうか」
「うん。こんなに長く会っていないけど、子どもたちはみんな元気にしているかしら」
清森と宣予は当初、福祉施設でボランティアをしていた時に知り合った。当時、清森は18歳だった。
そして当初、清森にボランティアを提案したのは、彼と知り合って半年だった古川真雪だった。
このことで、真雪は自分の当時の思いつきを思い出すたびに、自分の頬を強く叩きたくなるほど後悔していた。
清森は宣予に返事をしなかったが、心の中では考えていた——これはいい提案だ、次回真雪を誘う時にこれを理由にできる。
彼が相変わらず無表情でテレビ画面を見つめているのを見て、宣予は赤い唇を軽く噛んでから、今回の訪問の目的を口にした。「清森、私、田中監督の映画で女二号の役を獲得したの」
このニュースは真雪でさえ知っていたので、清森が知らないはずがなかった。
「そう?それはよかったね」
「田中監督は今、映画のスポンサーを探しているの。清森、興味ある?」
清森はゆっくりと顔を横に向け、隣に座り、目元に期待の色を漂わせている宣予を見た。