電話を切ると、古川真雪は携帯を横に投げ、再び目を伏せた。
久保清森は二人の電話での会話をぼんやりと聞いていたが、まだ少し不確かな様子で尋ねた。「レストランで何かあったの?」
「うん、また誰かが荒らしに来て、捕まったわ」
前回、真雪の店が荒らされた時、警察はすぐに犯人が夏目宣予の熱心なファン二人だと突き止めた。
清森と真雪は二人とも、あの事件は夏目維順と何らかの関係があると感じていたが、証拠がなかったため諦めるしかなかった。
警察がその二人のファンに他の共犯者がいるかどうか尋ねた時、二人は揃って首を振って否定した。
二人が壁の上の鳥を演じたいなら、清森はもちろん彼らの望みを叶えてやった。警察に彼らの過去の犯罪歴をいくつか提供した結果、二人とも三年の刑を言い渡された。
思いがけないことに、前回の後、今回もまた死を恐れない者が銃口に飛び込んできたのだ。
清森は自分の携帯を取り出し、唐田浩良にメッセージを送り、警察署に一声かけて徹底的に対処するよう指示した。
携帯を置くと、彼は真雪を腕に抱き寄せ、彼女の額に優しくキスをしてから、穏やかな声で言った。「寝なさい」
真雪はうなずいて再び眠りに落ちた。
……
昨夜は夜中までかかったため、真雪が目を覚ました時はすでに正午近くになっていた。そして元々彼女の隣で寝ていた清森はもう部屋にいなかった。
昨夜の二人の情熱的な光景が脳裏に浮かび、真雪の白い頬には思わず薄い赤みが広がった。
彼女が布団をめくると、吹けば飛びそうな肌には昨夜清森と愛し合った後に残された情事の痕跡が点在していた。
浴室でシャワーを浴び、身支度を整えて服を着替えると、階下のキッチンへ行って温かい水を一杯飲んだ。
白川悠芸はキッチンで家政婦と一緒に昼食の準備をしていた。真雪がキッチンに入ってくるのを見ると、優しく微笑んで言った。「真雪、おはよう」
「白川おばさん、おはよう」
「特別にお昼ご飯を用意したから、会社に持っていって清森と一緒に食べてね」
悠芸は横に既にお弁当箱に詰められた昼食を指さし、それから紙袋を取り出して、お弁当箱を一つずつ紙袋に入れた。
「うん、わかった」
彼女はコップの温かい水を飲み終え、シンクでグラスを洗っていると、悠芸が突然尋ねるのが聞こえた。「昨夜、レストランがまた荒らされたの?」