「本当に心配だわ、これからずっとこんな頼りにならないあなたと向き合っていかなきゃいけないなんて」
「どこが頼りにならないんだよ、生活でも、それに……」彼は言葉を切り、リビングに近づいていることに気づくと、声を落として二人だけに聞こえる声で続けた。「ベッドの上でも、俺は君を満足させられるほど頼りになるだろう」
その色気のある口から発せられた甘い言葉に、心が揺さぶられる思いがした。
古川真雪の頬は薄く赤く染まった。「やめてよ」
「真雪が信じないなら、今夜証明してあげてもいいよ」
真雪は口を開いたが、何も言い返せなかった。心の中で悟った……厚かましさでは、外では真面目ぶっている久保清森にはかなわないと。
二人がリビングに入ると、白川悠芸はソファに座って花を生けており、久保父と久保知昊は彼女の隣で本を読んでいた。
足音を聞いて、悠芸は顔を上げ、近づいてくる真雪と清森を見て優しく微笑んだ。「清森、真雪」
「お父さん、お母さん、僕と真雪はちょっと出かけてきます」
悠芸は頷き、眉間に少し意地悪な笑みを浮かべた。「どこに行くの?」
清森は彼女がわざとそう聞いていることを知っていた。彼は笑顔で答えた。「デートです」
彼の答えに、既に嬉しそうだった悠芸はさらに花が咲いたように喜んだ。「行っておいで、楽しんできなさい」
久保父は再び本を手に取り読み続けながら、本に目を落としたまま言った。「真雪をしっかり守るんだぞ」
「お二人とも、ちょっと露骨すぎませんか」
悠芸はハサミを置き、生けた花をテーブルの中央に飾った。「あなたは安全だけど、真雪はあまりにも美しいから、せっかく見つけた息子の嫁が誰かに狙われて連れ去られないか心配なのよ」
清森は言葉に詰まった。さすが実の両親だ。
真雪は横で三人の会話を聞きながら、笑いを堪えて肘で軽く清森の腰をつついた。
清森が横目で見ると、真雪が少し得意げに眉の端を上げていた。その傲慢な様子は、まるで「私には後ろ盾があるのよ、もし私をないがしろにしたら、あなたの両親に告げ口するわよ」と言っているようだった。
清森は彼女の手を握り、愛情を込めて彼女の手のひらを優しくくすぐった。
「じゃあ、先に行きます」
悠芸は頷いた。「行っておいで、楽しんでね」
「はい」