古川真雪はSNSを適当に見てから退出し、スマホを置こうとした時、再び振動が伝わってきた。また藤野旭からのメッセージだった。
【夏目宣予がインタビュー受けてるよ。あなたたちの会社と契約解除した後の初めてのインタビューで、しかもライブ配信中だよ。早く見て、明日一緒にあれこれ言おうよ。】
藤野のLINEに真雪は思わず笑ってしまった。彼女は唇を緩め、両親指を画面上で素早く動かして返信した。
【藤野、あなたって本当に私の親友ね。】
【ふん、これは純粋に厚かましく上司に取り入ってるだけよ。】
【そんな厚かましいところが好きよ。】
メッセージを送信した直後、彼女のスマホがまた振動した。今度は久保清森からのLINEだった。
【寝た?】
真雪は思わず口元を緩めながら返信した:【まだよ、どうしたの?】
【君の部屋の前にいるんだ。入ってもいい?】
メッセージを受け取ったばかりで、真雪が返信を打つ間もなく、彼からの次のメッセージが届いた。
【こんなに返事がないってことは、黙認してくれたってことだよね。今から入るよ。】
真雪:……
彼は全く返信する時間も機会も与えてくれないんだから。
心の中で愚痴りながら、清森に文句を言おうとしたその時、耳に微かなドアの開く音が聞こえた。
真雪は清森が入ってきたのだと分かった。
清森はドアを開けて部屋に入り、手でドアを閉めると、笑みを浮かべながらベッドの前まで歩いてきた。
「真雪、部屋に招待してくれてありがとう」
真雪は嫌そうに清森を一瞥し、彼の厚かましさにはもう慣れっこになっていた。
清森は肩を震わせ、眉をひそめて小声で不満を漏らした。「エアコン強すぎじゃない?なんか寒くない?」
「そう?じゃあ温度を…」上げようかな。
言葉が終わらないうちに、さっきまでベッドの前に立っていた清森はすでに室内スリッパを脱ぎ捨て、あっという間に彼女の布団の中に潜り込んでいた。
真雪は間近にある端正な顔を呆然と見つめ、ようやく気づいた…寒いわけじゃなく、単に厚かましく彼女のベッドに入りたかっただけなのだと。
「寒いなら、自分のベッドに戻って寝ればいいじゃない」
真雪の軽蔑するような視線を感じ、清森はにやりと笑った。「自分のベッドなんて、君のベッドほど暖かくないよ」