「見たいなら堂々と見ればいいよ。一生見続けてもいいから」
古川真雪は嫌そうに彼を一瞥したが、口元には自然と優しい笑みが浮かんでいた。
家の家政婦が豪華な朝食を用意していた。二人がリビングに入ると、久保お婆さんと久保父がすでに食卓に座って待っていた。
二人は礼儀正しく年長者に挨拶をした。
慈愛に満ちた久保お婆さんは嬉しそうに二人に微笑みかけた。「真雪、清森、帰ってきたのね?さあ、手を洗って一緒に朝食にしましょう」
「はい」
食事の間、食卓の雰囲気は和やかで、とても温かく調和がとれていた。
朝食後、久保清森は久保父の知昊と一緒に書斎へ向かった。白川悠芸は友人と買い物の約束があったため、食事を終えるとすぐに友人が車で迎えに来た。
一方、真雪は久保お婆さんと一緒に裏庭のマンゴーの木のところへ行き、道具を手に取って熟したマンゴーを枝から取り外した。
去年は彼女と久保お婆さんが夏の終わりまで待っても木にマンゴーが一つも実らず、少し落胆していた。
しかし今年は木に実ったマンゴーの数が多く、二人をとても喜ばせた。
かごいっぱいのマンゴーを収穫した後、真雪は右手でかごを持ち、左手で久保お婆さんの腕を取って一緒に家に戻った。
「後で田中おばさんに新鮮なマンゴーでマンゴームースケーキを作ってもらって、あなたと清森に食べさせましょうね」
真雪は素直に頷いた。「はい、いいですね」
久保お婆さんは優しく真雪の腕を軽く叩いた。「あなたが戻ってきて私と一緒にいてくれるのは本当に嬉しいわ。最初は、あなたと清森が離婚した後、久保家との付き合いを避けるんじゃないかと心配していたのよ」
「そんなことありません。お婆さんもおじさんもおばさんも私にとても良くしてくださったのに、どうして清森との離婚を理由に皆さんとの関係を切ってしまえるでしょう」
「そう言ってくれて嬉しいわ。お婆さんはまだあなたと清森が復縁することを望んでいるけど、若い人たちのことにはお婆さんは口出ししないわ。もしあなたと清森の縁が本当に尽きてしまったのなら、お婆さんはあなたが将来良い人と巡り会えることを願っているわ。これからどんなことが起きても、久保家はあなたの最も強い後ろ盾よ。わかった?」
久保お婆さんの年老いた声には変わらぬ慈愛と優しさが含まれており、言葉の端々には真雪への愛情が自然と滲み出ていた。