久保清森の最後のツッコミに対して、古川真雪は仕方なく答えた。「社長、あなたはあまりにも高価すぎて、私には養えませんよ」
言葉が落ちるや否や、清森がスーツのポケットに手を入れ、黒いエルメスの財布を取り出して真雪の前に差し出した。
「大丈夫、私の財布で養ってくれていいよ」
真雪は清森から渡された財布を受け取り、何気なく開いてみた。中にはかなりの量の一万円札や、銀行のゴールドカード、プラチナカードなどが入っていた。
彼女は面白そうに冗談めかして言った。「これって愛人になってほしいの?それとも逆に貢いでるの?」
清森は二秒ほど考えてから、正直に答えた。「両方かな」
真雪は彼の財布を閉じ、彼に返した。「条件は魅力的だけど、やっぱり断るわ」
清森はまだ諦めず、自分をアピールし続けた。「僕を愛人にすれば、お金を使えるだけじゃなく、毎日僕の手料理も食べられるよ。何より、夜には君を天にも昇る気持ちにして、夢心地にさせてあげる」
真雪はおそらく生涯で予想もしなかっただろう。清森がこんなにふざけた、不真面目な口調で「天にも昇る気持ち」や「夢心地」などの言葉を口にする日が来るとは。
彼女は容赦なく白い目を向け、フルーツ皿からイチゴを一つフォークで刺し、遠慮なく清森の口に押し込んだ。
「もっとフルーツでも食べてなさい」
清森は彼女が口に入れてくれたイチゴをゆっくりと噛みしめ、飲み込んでから、誠実な口調で評価した。「イチゴは甘いけど、真雪と比べるとまだ少し足りないな」
真雪は呆れたように清森を横目で見て、彼がたった数杯のお酒でこんなにも酔って戯言を言い始めたのかと疑った。
「酔ってるの?」
清森は首を振った。「いいや、しっかり冴えてるよ」
「じゃあなんでそんなデタラメを言うの?」
「本当に真雪はイチゴより甘いと思うんだ。もし真雪が疑うなら...もう一度真雪の味をしっかり確かめさせてよ」
言葉が落ちるや否や、真雪の返事を待たずに、彼は身を乗り出し、大胆に真雪の唇にキスをした。
清森にとって、真雪はこの世で最も美味しく魅惑的なデザートのようだった。彼女は甘いけれど決して甘すぎず、一度味わってからは彼女をもう一度味わいたいという欲望を抑えられなくなっていた。
二人の唇と舌の親密で情熱的な絡み合いは、少しずつ元々はっきりしていた理性を溶かしていった。