第35章 番組制作側からの贔屓

手伝いの仕事は比較的楽で、しかも人数が多かったので、忙しくても大変だとは感じなかった。

彼らはニンニクの皮むき、ジャガイモの皮むき、野菜洗いを手伝い、終わった後に食堂の掃除もした。

料理を作るという任務がなくなったため、ゲストたちは手伝いの準備作業を終えると、すぐに暇になった。

学校の食堂はグラウンドのすぐ近くにあり、一部のクラスが体育の授業を受けていて、後半は自由活動の時間だった。

多くの生徒がコートでバスケットボールをしており、他にもけん玉や縄跳びをしている子もいて、みんな笑い声を上げながら楽しそうにしていた。

斎藤央はバスケットボールを見てソワソワし始め、視線もずっとコートの方に向けられていた。しばらく何もすることがないなら、向こうに行って彼らと一緒に遊んだ方がいいと思った。

長谷川一樹がちょうど自分の隣にいるのを見て、彼は礼儀正しく尋ねた。「向こうに行って彼らとバスケをしようと思うんだけど、行く?」

一樹は少し眉をひそめ、断ろうとしたが、央の言葉はちょうど朝比奈初にも聞こえていた。

一樹が反応する前に、初が割り込んだ。「行けばいいじゃない、行って彼らと遊んでくれば」

一樹:「……」

初の言葉を聞いて、央はさらに期待に満ちた目で彼を見つめ、断りたくても口に出せなくなった。

【質問したいんだけど、長谷川一樹はバスケができるの?】

【あの不機嫌そうな顔を見ると、バスケは彼の得意分野じゃなさそうだよねwww】

【お坊ちゃまの口が今動いたのを見たけど、断ろうとしてたんじゃない?それを朝比奈さんが無意識に遮っちゃったのかな】

【えっ?!長谷川一樹がバスケできないの?じゃああんなに背が高いのに無駄じゃん?】

【できようができまいが、私はただイケメンの斎藤央がバスケするところが見たいだけ】

一樹はしばらく躊躇した後、最終的に央と一緒にバスケットコートへ向かった。

ちょうど男子生徒の一人がシュートを打ったが、ボールはリングをはずれ、央は正面からやってきて、危機に動じることなく手を伸ばしてボールをキャッチした。

央のその動きは生徒たちの注目を集め、特に彼が難なくボールをキャッチしたのを見て、みんな驚嘆の眼差しを向けた。