第45章 コーラチキンウィング

「本当にカスタムメイドなのね」長谷川千怜は何度も確認した。これは本当に限定カスタムメイドだった。

千怜がそのバッグを最初に見た時の反応から、朝比奈初はこの子の目が確かだと思った。彼女は少し感心したような、面白がるような目で言った。「意外と目が利くのね」

千怜はそれを聞いて、突然自信に満ちた様子で胸を張り、少し誇らしげに言った。「当たり前でしょ。私、長谷川千怜が知らないブランドなんてないわよ」

確かに千怜は年齢は若いものの、こういった女性向けの高級品については一定の知識を持っていた。ただ、彼女はお嬢様と言っても名ばかりで、自由にお金を使える立場ではなかった。

そのことを考えると、千怜は初を羨ましく思った。限定カスタムメイドのバッグを持てるだけでなく、制限なくお金を使えるなんて。

千怜は手に持ったバッグを見つめ、羨望と憧れの眼差しを向けた。「お金を積んでも予約枠が手に入らないって聞いたけど、どうやって買ったの?」

「顔で買ったの」

「そんなことできるの?」千怜は半信半疑で顔を上げ、好奇心から尋ねた。「どうやって?」

初は笑いながら答えた。「顔が良ければいいのよ」

千怜はようやく初が冗談を言っていたことに気づき、あやうく真に受けるところだった。

彼女は初を睨みつけ、少し不機嫌そうに言った。「からかってるの?顔が良いからって偉いの?」

千怜はバッグを箱に戻し、立ち上がる時にもう一度見つめずにはいられなかった。その小さな仕草は全て初の目に入っていた。

「そのバッグが本当に気に入ったなら、今度一つプレゼントしてもいいわよ」

千怜はようやく視線を切り離し、ちょうど立ち去ろうとした時、初がバッグをプレゼントすると言うのを聞いた。

彼女は急に振り返り、嬉しそうに尋ねた。「本当に?」

初は軽く頷いて言った。「もちろん。期末試験で学年10位以内に入れたらあげるわ」

成績の話を聞いた途端、千怜の顔は崩れ落ちた。「10位以内?それって私を殺す気?絶対無理」

彼女はクラスの30位以内にも入れないのに、学年10位以内なんて言わずもがな。

「自分に自信がないのね」

千怜は「そんな手に乗らないわよ。私には逆心理は効かないから」と言い返した。

……

夕方近く、長谷川一樹は時間通りにキッチンに現れ、遠藤の手伝いをするという口実で、こっそり料理を学んでいた。