第47章 君も馬鹿じゃないようだ

朝比奈初の視線が机の上の教科書に落ちて、眉をしかめるのを見て、長谷川千怜は傍らで意地悪く言った。「わからないでしょ?」

朝比奈初は彼女が書いた計算過程を指さして、注意した。「この解き方は間違ってるよ」

「当たり前でしょ。わかってたら悩んでないわよ」

初は鉛筆を取って千怜に解法の公式を書き、それから鉛筆を渡した。「試してみて」

千怜は少し疑わしげに鉛筆を受け取った。彼女は初に何の期待もしておらず、少しいい加減に頭を下げて、初が書いた公式をちらりと見た。

教科書に新しく書かれた一行を見終わると、千怜の瞳孔が突然大きく開いた。

彼女は驚いて瞬きをし、少し興奮して言った。「これ知ってる!覚えがあるわ」

「知ってるのになぜ使わなかったの?」

「ただ...思い出せなかっただけよ」千怜は言いながら、声が徐々に小さくなった。

初の見守る中、千怜は鉛筆を取って解き始め、すぐに答えを出した。

千怜は答えを出すと、自信に満ちた様子になった。

彼女は鉛筆を置くと、急いで教科書を取って初に見せ、自慢せずにはいられなかった。「ほら、解けたでしょ?」

初はちらりと見て、軽く頷き、平然と言った。「案外頭悪くないじゃん」

「何よそれ?私、小学校では算数の係だったんだからね」

「いくつになったの?小学校の話を今さら持ち出して恥ずかしくないの?」

千怜は「……」と言葉に詰まった。

この問題を解き終えると、初は彼女に二問目を詳しく分析してあげた。千怜はすぐに理解し、以前のような躊躇なく筆を走らせた。

千怜は二問を解き終えると、深く息を吐き、気持ちがすっかり楽になり、少し得意げな様子だった。「この二問、この私にとっては朝飯前よ」

初は彼女が二問とも正解し、解法も明確だったのを見て、思わず褒めた。「理解力が高いね」

「当然でしょ。私が本気を出したら、首席だって目じゃないわよ」

千怜の問題を解く様子を見て、初は彼女の基礎が悪くないことに気づいた。おそらく遊びが好きで、勉強に集中したくないだけなのだろう。

初は「もう遅いから、早く寝なさい。明日は学校に行くのを忘れないでね」と言った。

「わかったわよ」

初が去った後、千怜は思わずスマホを取り出し、カメラを開いて解いた問題の写真を撮り、長谷川彰啓に送った。

千怜:【お兄ちゃん、私の宿題見て/犬の顔】