朝比奈初には人並み外れた特徴があった。これは長谷川の母が数日間の交流を通じて発見したことだった。
彼女はまだ何もしていないようなのに、すでに不思議と彼女に惹かれていた。
長谷川の母はやや見入ってしまい、昼に友人と食事の約束をしていたことをほとんど忘れるところだった。
彼女は生配信を見ていて、ちょうど朝比奈初たちの競技の終盤だった時、突然電話がかかってきた。
最後の結果を見届けるために、長谷川の母は友人からの電話を切ってしまった。
生配信収録現場
監督は時間がちょうど良いと判断し、自ら前に出て小さなメガホンを持って進行を急かした。「皆さん、残り10分です。10分後に競技終了を宣言します。」
監督の声が耳に響き、まだ完成していないゲストたちは焦り始め、残りの線を無造作に切り始めた。
朝比奈初の状況は彼らとは全く異なっていた。彼女の顔には緊張の色は全くなく、心も安定していた。
篠田佳子はまだ切っていない部分がわずかだったが、10分以内に完成させるために明らかに慌てていた。はさみもうまく制御できず、うっかり切りすぎてしまい、ウサギの尻尾が切り取られてしまった。
【なぜか分からないけど、篠田佳子と長く接していると、生活音痴で何もできない感じがする】
【佳子は今回の回、確かにあまり良い出来ではなかったね。彼女はリアリティショーに向いていないのかも】
【朝比奈さんはすごい。何をしても自分の世界に入り込んで、外部の邪魔を受けず、最後には完璧な結果を出す】
【でもこの競技はスピードも競うんじゃない?朝比奈さんはまだ半分も切れてないけど、これで勝てるの?】
【私は大丈夫だと思う。朝比奈さんのスピードは遅くないよ。彼女が前に3枚の絵を描いたことも考えてみて】
長谷川の母がこちらで電話に出ないので、彼女と食事の約束をしていた二人の奥様は会社の入り口で長い間待った末、直接中に入って彼女を探すことにした。
会社の受付係の案内で、二人の奥様は長谷川の母の臨時オフィスにたどり着いた。
「順子さん、電話したのになぜ出ないの?」ドアが奥様の一人によって開けられ、中に入ると長谷川の母がソファエリアに座り、熱心にスマホを見ているのが見えた。
長谷川の母は顔を上げて一瞥し、軽く笑って言った。「来たの?少し待って、生配信を見終わったら行きましょう。」