昨晩トイレで悪意を持って電気を消された件について、長谷川千怜はまだ犯人を見つけられていなかった。そして今朝も嫌がらせを受けた。
原因は朝に英語の宿題を提出することになっていて、クラス委員が一人ずつ宿題を集めていったのだが、千怜は確かに宿題を出したはずなのに、なぜか提出された宿題の中に彼女のものがなかった。
英語の先生が彼女を呼びに来た時、千怜は先生に説明しただけでなく、クラス委員にも尋ねたが、クラス委員は彼女の宿題を見ていないと言い張った。
彼女とクラス委員の言い分が食い違っていたため、先生はすぐに表情を変え、彼女が嘘をついている疑いがあると思い、宿題を追加提出するよう言われた。
千怜は事の顛末を朝比奈初に話し、話せば話すほど自分が不当な扱いを受けていると感じた。「私、嘘なんてついてないわ。宿題はちゃんと出したのに、また出せって言うなんて、ふざけてるわ」
千怜が最も腹を立てたのは、先生がクラス委員を贔屓していて、千怜が宿題を書いていないのに言い逃れをしていると思っていることだった。
この件で彼女は午後に英語の先生と口論になり、授業にも出られず廊下に立たされ、さらに保護者との面談の時間を設けると言われた。
「じゃあ、君の宿題のノートはどうなったの?」初は少し好奇心を持って尋ねた。「見つかった?」
千怜は怒りで叫びそうになった。「絶対に確実に、私はあの子に渡したわ」
彼女は朝学校に着いてから英語の作文を書かなければならないことを知り、朝の読書時間が終わる直前に書いていた。
ちょうどクラス委員が彼女の前まで来て催促したので、千怜は単語数を満たすために無理やり数文を書き足し、書き終えるとチェックする時間もなくすぐに提出した。
千怜はクラス委員に自分が宿題を出したことを証明してもらえると思っていたが、結果的には相手に逆襲されてしまった。
今日の出来事を経て、千怜はかなり落ち込んでいた。
クラスメイトがそんな態度を取るのはまだしも、先生までもが彼女を信じてくれないなんて。
長谷川の母は疑問を投げかけた。「クラス委員の机に置き忘れたんじゃない?」
「お母さん、重要なポイントが分かってないわ。朝、あの子が宿題を集めに私の前まで来たのよ。それなのに先生の前では私の宿題を見ていないって言うの。それこそ嘘でしょ」